この教科書について
読者として、基本情報技術者レベルの知識がある方、または実務経験 1〜3 年の IT エンジニア・情報システム部門の方を想定しています。各章は「学習目標 → 本文(概念 → 図解 → 表・計算の型)→ ひっかけポイント → 理解度チェック(科目 A 形式)→ まとめ」で構成され、章ごとに独立して読めます。まず第 1 章で試験の全体像と戦略をつかんでから、科目 A の約 4 割を占める第 III 部(技術要素)を厚く学び、第 VII 部で科目 B の記述式に取り組むのがおすすめです。
2026 年度の制度変更: 2026年度(令和8年度)から応用情報技術者試験は CBT(Computer Based Testing)方式となり、前期(科目 A 2026 年 10 月 28 日〜11 月 10 日・科目 B 11 月 24 日〜12 月 6 日)と後期(科目 A 2027 年 2 月 6 日〜19 日・科目 B 3 月 3 日〜15 日)の年 2 回実施です。科目名は「午前」→「科目 A」、「午後」→「科目 B」に変わりましたが、出題範囲・形式・試験時間は変わっていません。現行制度は 2026 年度で終了し、2027 年度から新試験制度に移行する予定です。詳しくは第 1 章を参照してください。
情報の鮮度: 本書は 2026 年 9 月時点の IPA 公開情報(試験要綱 Ver.5.6・シラバス Ver.7.2・過去問題)に基づいています。申込期間・試験日程・受験手数料などはIPA の公式ページで必ず最新情報を確認してください。
科目 B の分野と本書の対応
科目 B(記述式)は 11 問中 5 問に解答します。問 1 の情報セキュリティは必須、問 2〜11 から 4 問を選択します。各分野の知識は第 I〜VI 部で学び、解き方は第 VII 部で身につけます。
| 科目 B の分野 | 知識を学ぶ章 | 解き方を学ぶ章 |
|---|---|---|
| 情報セキュリティ(問 1 必須) | 第 11 章・第 12 章 | 第 23 章 |
| 経営戦略/情報戦略 | 第 18 章・第 19 章・第 21 章 | 第 25 章 |
| システムアーキテクチャ | 第 5 章 | 第 24 章 |
| ネットワーク | 第 10 章 | 第 24 章 |
| データベース | 第 9 章 | 第 24 章 |
| 組込みシステム開発 | 第 4 章・第 7 章 | 第 24 章 |
| 情報システム開発 | 第 13 章・第 14 章 | 第 24 章 |
| プログラミング(アルゴリズム) | 第 3 章 | 第 24 章 |
| プロジェクトマネジメント | 第 15 章 | 第 25 章 |
| サービスマネジメント | 第 16 章 | 第 25 章 |
| システム監査 | 第 17 章 | 第 25 章 |
目次
序章 試験ガイド
第 I 部 テクノロジ系 ― 基礎理論
第 2 章
基礎理論 ― 離散数学・応用数学・情報理論・通信理論
基数と補数・浮動小数点の誤差、論理演算とカルノー図、確率・統計、M/M/1 待ち行列、ハフマン符号、誤り訂正、機械学習の評価指標を計算の型と図で身につける。
第 3 章
アルゴリズムとプログラミング
配列・リスト・スタック・木・ハッシュの動きを図で追い、整列と探索の計算量、逆ポーランド記法、再帰と分割統治、擬似言語のトレースまでを科目A・B両対応で固める。
第 II 部 テクノロジ系 ― コンピュータシステム
第 4 章
コンピュータ構成要素 ― プロセッサ・メモリ・入出力
5 大装置から CPU の命令実行・パイプライン・キャッシュ・半導体メモリ・バス・入出力装置まで。実効アクセス時間や CPI などの頻出計算を型で解く。
第 5 章
システム構成要素 ― 構成方式・性能・信頼性
冗長構成とクラスタ、稼働率と MTBF・MTTR の計算、性能指標とキャパシティプランニング、仮想化・クラウド、RAID とバックアップまでを図と計算の型で押さえる。
第 6 章
ソフトウェア ― OS・ミドルウェア・ファイルシステム・開発ツール・OSS
タスクの状態遷移とスケジューリング計算、仮想記憶のページ置換え、セマフォとデッドロック、ファイルシステムと言語プロセッサ、OSS ライセンスまでを型で押さえる。
第 7 章
ハードウェア ― 論理回路・組込みシステム・IoT デバイス
論理ゲートと真理値表の読み方、フリップフロップ、カスタム IC、センサとアクチュエータ、D/A 変換とタイマ割込みの計算まで、組込み・IoT のハードウェアを図で固める。
第 III 部 テクノロジ系 ― 技術要素
第 8 章
ユーザーインタフェースと情報メディア
GUI 部品とユーザビリティ評価、アクセシビリティ規格、音声・画像・動画のデータ量計算、3 次元 CG の描画技法を図と計算の型で押さえる。
第 9 章
データベース ― 設計・SQL・トランザクション
3 層スキーマと E-R 図、第 1〜第 3 正規形の判定、SQL の結合と副問合せ、ロックとデッドロック、ログによる障害回復までを図と手順の型で押さえます。
第 10 章
ネットワーク ― プロトコル・IP アドレス・LAN/WAN・ネットワーク管理
OSI と TCP/IP の階層、伝送時間とサブネットの計算、スイッチとルータ、ARP・NAPT・TCP/UDP・DNS、SNMP と SDN までを図と計算の型で押さえます。
第 11 章
情報セキュリティ 基礎 ― 脅威・攻撃手法・暗号・認証
攻撃手法を手口・被害・対策で結び、共通鍵と公開鍵の使い分け、デジタル署名と PKI の失効確認、認証の 3 要素と生体認証の指標を図と計算の型で押さえる。
第 12 章
情報セキュリティ 管理と対策 ― ISMS・技術的対策・セキュア開発
ISMS とリスク対応の 4 分類、FW・DMZ・IDS/IPS・WAF の役割分担、VPN とゼロトラスト、SPF/DKIM/DMARC、セキュア開発までを図と対比表で固めます。
第 IV 部 テクノロジ系 ― 開発技術
第 13 章
システム開発技術 ― 要件定義・設計・実装・テスト・保守
V 字モデルで工程とテストを結び、結合度・強度の順序、網羅基準の計算、UML の読み方、保守の分類までを図と型で押さえる章です。
第 14 章
ソフトウェア開発管理技術 ― 開発プロセス・アジャイル・構成管理
開発モデルの選び方、スクラムと XP の用語の帰属、バーンダウンとベロシティ、DevOps と CI/CD、特許の属地主義、Git と構成管理までを図と表で押さえる。
第 V 部 マネジメント系
第 15 章
プロジェクトマネジメント
クリティカルパスとフロート、EVM の 6 指標、三点見積りと FP 法、リスク対応戦略までを計算の型と図で固める。時間・コスト・リスクだけで出題の約 6 割を占める。
第 16 章
サービスマネジメント
SLA と稼働率計算、インシデント管理と問題管理の区別、変更管理の流れ、RTO/RPO、バックアップ運用、サービスデスク、ファシリティまでを図と表で押さえる。
第 17 章
システム監査と内部統制
監査の 5 段階と監査技法・監査証拠・フォローアップの役割分担、内部統制の 6 要素と IT 全般統制/業務処理統制、3 つのディフェンスラインを図で整理します。
第 VI 部 ストラテジ系
第 18 章
システム戦略とシステム企画
情報システム戦略と EA の 4 階層、BPR・BPM・RPA の違い、システム化構想から要件定義・RFI/RFP・提案評価・契約までの企画フローを図と計算の型で固める。
第 19 章
経営戦略マネジメントと技術戦略マネジメント
PPM・5 フォース・SWOT・アンゾフ・BSC の 2 軸フレームワークを図で判別し、MOT と技術の S カーブ、魔の川・死の谷・ダーウィンの海までを型で押さえる。
第 20 章
ビジネスインダストリ ― 業務システム・e-ビジネス・IoT/AI 応用
業種別システムと AI 活用、MRP・段取り時間・発注点の計算、EC と電子決済、EDI、エッジやデジタルツインまでの IoT 応用を図表で型化する。
第 21 章
企業活動 ― 経営・組織論、業務分析と OR、会計・財務
損益分岐点・EOQ・デシジョンツリー・財務指標という計算の型と、組織形態・リーダーシップ理論・QC 七つ道具の識別点を図表で固める。
第 22 章
法務 ― 知的財産権・セキュリティ関連法・労働/取引関連法・標準化
著作権の保護対象と帰属、産業財産権 4 法、不正アクセス禁止法と刑法の切り分け、個人情報保護法の分類、請負と派遣の指揮命令、取適法と PL 法までを対比表と判定フローで固める。
第 VII 部 科目 B(記述式)対策
第 23 章
科目 B 攻略法と必須問 1「情報セキュリティ」
11 問中 5 問・150 分という枠を前提に、記述式の読み方・字数記述の型・時間配分・選択戦略を固め、必須の問 1 情報セキュリティを 19 回分の実績で仕上げます。
第 24 章
科目 B テクノロジ系選択問題の攻略
問 3〜問 8 の 6 分野を、10 年分の題材一覧・設問形式の実数・採点講評の失点型から比較し、選ぶ 4 問の決め方と分野ごとの解答手順を型にします。
第 25 章
科目 B マネジメント・ストラテジ系選択問題の攻略
問 2・9・10・11 の 4 分野を、10 年 19 回の題材と採点講評の失点分析から攻略する。記述の型・計算の型・当日の選択手順を通しで固める最終章。