応用情報技術者試験 合格教科書|2026年度(令和8年度)対応
第 18 章|科目 A 直近 10 年 19 回で 97 問、1 回平均 5.1 問(中分類 17 が 3.1 問、18 が 2.0 問)/科目 B 問 2「経営戦略・情報戦略」の土台 科目 B: 経営戦略/情報戦略

システム戦略とシステム企画

情報システム戦略・EA・BPR・SoR/SoE から、システム化計画・要件定義・調達(RFI/RFP)までの企画フローを 1 本の流れで押さえる

この章で学ぶこと

科目 A では、システム戦略(中分類 17)が直近 10 年 19 回で 59 問(1 回平均 3.1 問)、システム企画(中分類 18)が 38 問(1 回平均 2.0 問)出ています。合わせて 1 回あたり約 5 問で、80 問中では 6% 強にあたります。4 問確保が目標です。問番号は中分類 17 が問 61〜63、中分類 18 が問 64〜66 にほぼ固定されているため、この章の内容は本番で連続して現れます。科目 B の問 2「経営戦略・情報戦略」は 19 回すべてで出題されており、本章はその情報戦略側の土台になります。

情報システム戦略 ― 経営戦略との整合と全体最適化

情報システム戦略とは、経営戦略を実現するために「どの業務にどう IT を使うか」を全社の視点で決める中期の方針です。なぜ全社で決める必要があるのかというと、部門ごとに必要になった順にシステムを作っていくと、同じ顧客データが複数の台帳に分かれ、機能が重複し、連携のたびに個別の変換処理を書く羽目になるからです。この部分最適の積み上げを避け、先に全社のあるべき姿を描いてから投資対象を選ぶ考え方を全体最適化といいます。試験でも「経営戦略との整合」「全体最適化」という 2 語が正解肢の目印になります。

策定手順は As-Is の調査から始まり、指標の設定で終わる

シラバス Ver.7.2 は、情報システム戦略の策定タスクとして、対象領域ビジネスのプロセスレベルでの理解、現行業務(As-Is)の調査・分析、情報システム(As-Is)の調査・分析、IT 動向の調査・分析、基本戦略の策定、業務の新全体像(To-Be)と投資対象の選定、活動・成果指標の設定、策定と承認の 8 つを挙げています。順序の要点は 2 つです。第 1 に、現状(As-Is)を業務とシステムの両面から調べるのが先で、理想像(To-Be)を描くのは後です。第 2 に、最後は「どう測るか」を決めて承認を得ます。指標を決めずに承認された戦略は、実行段階でモニタリングできません。

① As-Is の調査・分析 業務とシステムの現状を洗う ② IT 動向の調査・分析 新技術の適用可能性を見る ③ 基本戦略の策定 経営戦略との整合をとる ④ To-Be と投資対象 新しい業務全体像を描く ⑤ 活動・成果指標の設定 KGI・KPI で進捗を測る ⑥ 策定と承認 経営層の承認を得る 策定の成果物 情報システム戦略 経営戦略と整合 全体最適化計画 = 情報システム化基本計画 個別計画 個々の開発計画へ
図 18-1 情報システム戦略の策定手順(① から ⑥ へ、上段は左から右、下段は右から左に進みます)と、そこから生まれる計画の階層。上段の順序では「As-Is が先、To-Be が後」、下段の階層では「全体最適化計画が上、個別計画が下」が問われます。

計画の階層 ― 全体最適化計画と個別計画

経済産業省のシステム管理基準(平成 16 年版。令和 5 年 4 月改訂版では IT ガバナンス編/IT マネジメント編に再構成され、この語は使われていません)では、情報戦略の段階で組織全体のあるべき姿を明確にする計画を全体最適化計画と呼びます。シラバスの用語でいう情報システム化基本計画がこれに相当し、その下に個々のシステムをいつ・どの範囲で作るかを決める個別計画(個別の開発計画)が並びます。「組織全体のあるべき姿を明確にする計画」「情報戦略策定段階の成果物」という聞き方で 2 回出題され、答えはいずれも全体最適化計画でした。誤答肢には個別計画・開発計画・運用計画のように 1 段下の計画名が置かれます。

階層決めること試験での目印
情報システム戦略経営戦略に沿った IT 活用の基本方針、投資方針、組織体制「経営戦略との整合」
全体最適化計画
(情報システム化基本計画)
組織全体のあるべき姿(To-Be モデル)、標準化方針、品質方針、外部資源の活用方針「組織全体」「あるべき姿」
個別計画個々のシステムの開発範囲・優先順位・スケジュール・体制「優先順位」「個々の」

戦略を実行する体制も用語例に挙がっています。IT 全般の責任者が CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)、デジタル活用による変革の責任者が CDO(Chief Digital Officer)です。全社の意思決定機関として情報システム戦略委員会が置かれ、個々のシステムには責任者であるシステムオーナーと、そのシステムが保有するデータの責任者であるデータオーナーが定められます。策定した戦略が計画どおり進んでいるかをモニタリング指標で追い、差異分析とリスク対応を行う活動を情報システム戦略実行マネジメントといいます。なお、システム管理基準の企画プロセスに踏み込んで「ビジネス分析の達成目標」を問う出題も 1 回あり、基準の条文レベルまで聞かれる例が出てきています。

プロジェクト・プログラム・ポートフォリオの 3 層

プログラムマネジメントは、目的や目標が明確な複数のプロジェクトを有機的に組み合わせたプログラムについて、プロジェクト相互の関係を最適化し、全体として使命をより良く達成するように統合する活動です。直近 10 年で 4 回、ほぼ同一の問題として出題されており、正解文には毎回「複数のプロジェクト」「統合」「戦略の実現」が揃います。プログラムを支援する組織が PMO(Program Management Office:プログラムマネジメントオフィス)です。

IT ポートフォリオ ― 投資の全体を選別・配分 プログラム: 販売改革 EC サイト構築 2026 上期 店舗 POS 更新 2026 下期 PJ 間の依存を調整し戦略目標を達成 プログラム: 基幹刷新 会計 ERP 導入 2027 上期 データ移行 2027 下期 同じ資源を共有する PJ をまとめる 上位ほど「やるべきか」、下位ほど「どう作るか」を扱う
図 18-2 3 層の入れ子。最も内側のプロジェクトは納期・コスト・品質(QCD)の達成が目的、プログラムは複数プロジェクトの統合、IT ポートフォリオは投資全体の選別と配分が目的です。「個々のプロジェクトを納期内で完了させる」はプロジェクトマネジメントの説明で、プログラムマネジメントの誤答肢になります。

目標の設定と投資対効果の指標

戦略の達成度は指標で測ります。最終的なゴールを数値で表すのが KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)、その達成に決定的に効く要因が CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)、CSF の進み具合を測る中間指標が KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)です。導出は KGI → CSF → KPI → 施策の順で、この順序を問う読解問題が 1 回出ています。「物流コストを 10% 削減する」が KGI、「積載率の向上」が CSF、「1 便あたり積載率 85%」が KPI、「配送ルートの見直し」が施策という関係です。

投資の評価指標も、名称と計算式の対応で出ます。中分類 17 では ROI が 3 回、いずれも定義を選ぶ形(計算は出ていません)、中分類 18 では投資回収期間(PBP)が 4 回、NPV が 2 回出ています。ここでは名称と考え方を押さえ、キャッシュフローの割引計算そのものは第 21 章で扱います。

指標考え方ひっかけ
ROI(投資利益率)利益額 ÷ 投資額。投資 1 円がいくらの利益を生むか分子と分母の逆転
PBP(投資回収期間)累積キャッシュフローが投資額に達するまでの年数。短いほど良い回収総額が最大のものを選ぶ
NPV(正味現在価値)各年のキャッシュフローを (1 + 割引率)t で割り戻して合計し、投資額を引く。大きいほど良い割引前の合計が最大のものを選ぶ
IRR(内部収益率)NPV がちょうど 0 になる割引率。高いほど良いROI との混同
DCF 法将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する考え方の総称(NPV・IRR の土台)単年度の利益率と混同
TCO(総所有費用)導入費だけでなく運用・保守・教育・廃棄まで含めたライフサイクル全体の費用初期投資額だけを比べる
IT ポートフォリオ投資案件をリスクとリターンで分類し、全体のバランスで資源配分を決める手法個別案件の採否基準と混同

DX と DX 政策の 3 点セット

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)は、データとデジタル技術を活用して製品・サービス・ビジネスモデルを変革し、あわせて業務そのものや組織・プロセス・企業文化まで変えることで、競争上の優位性を確立する取組みを指します。単にツールを導入することではなく、変革の対象に組織と文化が含まれる点が定義の核です。

2026年度の注意 シラバスの用語例には「デジタル経営改革のための評価指標(DX 推進指標)」しか載っていませんが、実際の出題では経済産業省の DX 施策 3 点セット(DX 推進指標・デジタルガバナンス・コード・DX 認定制度)のどれかが令和 4 年秋以降ほぼ毎回 1 問出ています。DX 推進指標は 2 回、デジタルガバナンス・コードは 1 回、DX 認定制度は 1 回で計 4 問です。用語例の外側から出る領域なので、名称と目的の対応だけは押さえておきます。
施策何のためのものか出題での答え方
DX 推進指標経営者が自社の DX の現状と課題を自己診断するための指標群IT システムに求められる要素は「環境変化に迅速に対応できるデリバリースピード」。コスト削減率や稼働率といった従来型の運用指標は誤答
デジタルガバナンス・コードDX を進めるうえで経営者に求められる対応を、ビジョン・戦略・成果指標・ガバナンスといった観点でまとめた指針「経営者に求められる対応をまとめた指針」
DX 認定制度情報処理の促進に関する法律に基づき、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応した企業を国が認定する制度「国が企業を認定する制度」

情報システム戦略の留意事項には BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)も用語例として挙がり、2 回出題されています。正解文は毎回「中断・阻害された業務を、あらかじめ定めた時間内に復旧・再開させる手順を文書化したもの」に近い内容です。データのバックアップや従業員の安否確認は BCP の構成要素の一つにすぎず、それだけを述べた肢は誤りです。BCM の詳細(事業影響度分析、RTO・RPO)は第 21 章で扱います。

EA(エンタープライズアーキテクチャ)と SOA

EA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)は、組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムを同時に改善することを目的とした、組織の設計・管理手法です。EA が扱う領域は 4 つに分かれ、それぞれが 1 つのアーキテクチャとして整理されます。定義を選ばせる問題では「4 つの体系で組織全体を整理し、全体最適化を図る」という骨格が正解肢に入ります。この小分類は中分類 17 で最も厚く、EA そのものが 3 回、後述の SOA が 7 回、To-Be モデルが 1 回で計 11 問です。

アーキテクチャの層 代表的な成果物(用語例) BA ビジネスアーキテクチャ 組織の目標と業務プロセスを体系化 業務説明書・DFD WFA(業務流れ図)・UML DA データアーキテクチャ 業務に必要なデータの構成と関連 データ定義表 情報体系整理図・E-R 図 AA アプリケーション 業務とアプリケーションの対応を体系化 情報システム関連図 機能構成図・SOA TA テクノロジ 業務を支える技術基盤を体系化 ハードウェア構成図 ソフト・ネットワーク構成図 上の層(業務)が下の層(技術)の要件を決める As-Is から To-Be への差分 As-Is モデル ギャップ分析 To-Be モデル 移行計画・投資対象
図 18-3 EA の 4 階層と、As-Is から To-Be へのギャップ分析。4 分類は BA・DA・AA・TA の 4 つだけで、ネットワークアーキテクチャやセキュリティアーキテクチャという分類は存在しません(誤答肢の定番です)。「BA・TA・AA 以外の 1 つ」を選ばせる出題では答えはデータアーキテクチャです。

各層には、あらかじめ用意された「ひな型」である参照モデルがあります。業務体系の参照モデルが BRM(Business Reference Model:業務参照モデル)で、業務を機能別に分類・体系化し、業務体系とシステム体系を対応付ける土台になります。同様にデータ体系には DRM、サービス部品には SRM、技術標準には TRM が対応します。EA のフレームワークとしては、企業を「何を・どのように・どこで・誰が・いつ・なぜ」の 6 つの観点と視点の階層で表すザックマンフレームワーク、業界団体 The Open Group が策定した TOGAF が用語例に挙がっています。既存の複数のアプリケーションを連携させる仕組みは EAI(Enterprise Application Integration)です。

SOA ― この中分類で最多の出題テーマ

SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)は、業務上の機能を独立したサービス部品に分割し、その部品を業務プロセスに対応付けて組み合わせることで、業務の変化に合わせた組み替えと連携を容易にする設計思想です。この 2 つの要素が両方そろっているかが正誤判定の分かれ目になります。

従来型: 業務ごとに作り込む 販売 受注処理 請求処理 在庫照会 購買 発注処理 請求処理 在庫照会 生産 所要計算 原価処理 在庫照会 同じ機能が重複し、連携は個別対応 SOA: 機能をサービス部品に分ける 業務プロセス(受注 → 出荷 → 請求) 顧客 参照 在庫 引当 請求 発行 配送 手配 業務プロセスがサービス部品を呼び出す 部品を組み替えれば新しい業務に対応できる
図 18-4 SOA の考え方。左では「在庫照会」「請求処理」が 3 つのシステムに重複していますが、右ではサービス部品が 1 つあり、業務プロセスがそれを呼び出します。部品化だけでも連携だけでもなく、両方を満たすのが SOA です。
出題実績 SOA は直近 10 年 19 回で 7 回出題され、この中分類で単独最多です。しかも 7 回すべてが「SOA の説明はどれか」という定義選択で、正解文はほぼ同一のまま再出題されています。「業務機能を独立した部品に分け、業務プロセスとの対応付けと連携を容易にする」という一文を暗唱できる形にしておけば、本番で数秒で処理できます。

誤答肢は、SOA の 2 要素のうち片方しか満たさない近縁概念で作られます。「ソフトウェア部品を再利用しやすくする」だけならオブジェクト指向の説明であり、「既存アプリケーション同士をつなぐ」だけなら EAI の説明です。また、統合された 1 つのパッケージで基幹業務をまかなう ERP の説明を SOA として置く肢も見られます。

業務プロセスの改善 ― BPR・BPM・RPA

この 3 つは「業務をよくする」点では同じですが、扱う粒度と継続性が違います。試験ではその違いを突く肢が並ぶため、対比で覚えます。

BPR 業務プロセスの再設計 BPM 継続的なプロセス改善 RPA 定型作業の自動化 対象: プロセス全体 対象: プロセスの運用 対象: 個々の操作 発想: ゼロから作り直す 発想: PDCA で回し続ける 発想: 人の操作を代行する 単位: 一度きりの変革 単位: 恒常的な管理活動 単位: 作業単位のツール 主体: 経営・企画部門 主体: 業務部門と IT 部門 主体: 現場の担当者 BPR で描き直した業務を BPM で回し、定型部分を RPA に任せる 3 つは対立ではなく、粒度の違う打ち手
図 18-5 BPR・BPM・RPA の粒度。BPR は「作り直す」、BPM は「回し続ける」、RPA は「代わりにやらせる」と動詞で覚えると、選択肢の主語(プロセス全体か、運用か、操作か)で切り分けられます。

BPR(Business Process Reengineering:ビジネスプロセスリエンジニアリング)は、マイケル・ハマーらが提唱した考え方で、既存の組織構造や業務手順を前提とせず、プロセス視点と顧客志向で業務を根本から再設計し、顧客価値の向上を図ります。既存業務の部分的な効率化ではなく、部門をまたいだ流れそのものを描き直すのが特徴です。

BPM(Business Process Management:ビジネスプロセスマネジメント)は、業務分析 → 業務設計 → 業務の実行 → モニタリング → 評価というサイクル(PDCA)を繰り返して、業務プロセスを継続的に改善する管理活動です。これを支えるシステムが BPMS(Business Process Management System)で、承認経路を電子化するワークフローシステムもこの枠に入ります。実行時に残ったログから、実際に行われているプロセスを復元・可視化する手法がプロセスマイニングです。

RPA(Robotic Process Automation)は、画面操作・転記・照合といった定型的な PC 作業を、ソフトウェアのロボットが人の代わりに実行する仕組みです。業務改善は「プロセスの可視化 → 標準化 → 自動化」の順に進めるもので、RPA はその最後の自動化の道具にあたります。標準化されていない業務にそのまま RPA を当てると、非効率な手順ごと固定してしまうため、順序が重要です。

覚え方 業務改善の 4 原則 ECRS は、Eliminate(排除)→ Combine(結合)→ Rearrange(交換・順序の入れ替え)→ Simplify(簡略化)の順に検討すると効果が大きくなります。「なくす → まとめる → 入れ替える → 簡単にする」と日本語で唱えると、適用例の判別で迷いません。直近では Rearrange の適用例として「配送順を入れ替えて 1 日の配送件数を増やす」を選ばせる出題があり、残る 3 原則の適用例が誤答肢に並びました。

外部に出す改善 ― BPO・シェアードサービス

用語意味境目
アウトソーシング自社業務の全部または一部を外部に委託すること委託の総称
BPO業務プロセス単位で一括して外部に委託する形態。経理・給与計算・コールセンターなどが典型「プロセス単位」で委託
オフショア人件費の安い海外の事業者・拠点へ委託すること委託先が海外
ニアショア国内の地方拠点へ委託すること。時差・言語・商習慣の差が小さい委託先が国内の遠隔地
シェアードサービスグループ各社に散っている間接業務を 1 か所(子会社など)に集約すること外部委託ではなくグループ内集約

業務のモデル化 ― どの図で何を表すか

業務プロセスを把握・分析して問題点を見つけるには、図に落とす必要があります。シラバスには複数の記法が並びますが、覚えるべきは「その図が何を主役にしているか」だけです。

記法主役にするもの特徴
DFD(データフロー図)データの流れプロセス・データストア・データフロー・源泉/吸収の 4 要素。構造化分析で使う
E-R 図(E-R モデル)データの構造実体(エンティティ)と関連(リレーションシップ)。データアーキテクチャの成果物
WFA(業務流れ図)組織間の仕事の受け渡し部門をレーンに分け、帳票やデータの流れを描く
BPMN業務プロセスの手順Business Process Model and Notation。イベント・タスク・ゲートウェイで表す記法
BPD(BP 図)業務プロセスの手順BPMN の記法で描かれた図そのもの
IDEF機能と入出力・制御・機構Integrated DEFinition methods。統合化定義方法論(ここでの説明は機能モデリングの IDEF0 を指し、情報モデリングの IDEF1 等は範囲外です)
フローチャート処理の順序1 つの処理手順を分岐・繰返しで表す
状態遷移図状態と遷移のきっかけ取り得る状態が有限で、イベントで移る対象に向く
UML対象に応じて図を選ぶクラス図・ユースケース図・アクティビティ図など。要件定義の節で対比表を示す

ソリューションビジネスとクラウドサービスの選定

ソリューションビジネスとは、製品を売るのではなく、顧客の経営課題そのものを解決するサービスを提案・提供する事業形態です。提供する事業者をソリューションプロバイダといい、複数のハードウェア・ソフトウェア・サービスを組み合わせて 1 つのシステムとして構築・運用まで請け負う形態が SI(System Integration:システムインテグレーション)です。顧客との信頼関係の構築・維持が事業の前提になる点がシラバスで強調されています。

SaaS・PaaS・IaaS ― どこまで事業者が管理するか

クラウドサービスの 3 分類は、「システムのどの層までを事業者が管理するか」で決まります。利用者の自由度と運用負担は逆比例します。IaaS は OS から自分で選べる代わりに OS のパッチ適用まで自分の責任、SaaS は業務機能をそのまま使う代わりにアプリの仕様変更に従うことになります。

オンプレミス IaaS PaaS SaaS アプリケーション 利用者 利用者 利用者 事業者 ミドルウェア・実行環境 利用者 利用者 事業者 事業者 OS 利用者 利用者 事業者 事業者 ハード・ネットワーク 利用者 事業者 事業者 事業者 色の付いた面がクラウド事業者の管理範囲、白い面が利用者の管理範囲
図 18-6 管理責任の境界。境界が下から上へ上がっていくのが IaaS → PaaS → SaaS の順です。「アプリケーションだけを利用者が作る」なら PaaS、「アプリケーションも事業者が提供する」なら SaaS と判定できます。
形態提供されるもの混同しやすい点
ASPアプリケーションをネットワーク経由で提供する事業者・形態。SaaS の先行形態SaaS はマルチテナントで提供する形が一般的な点が違い
ホスティング事業者が所有するサーバを貸す機器は事業者のもの
ハウジング利用者が所有する機器を事業者の施設に置かせる機器は利用者のもの。置き場所と電源・回線を借りる
IDC(インターネットデータセンタ)ハウジング・ホスティングを提供する施設施設そのものを指す語
オンプレミス自社の設備内にシステムを設置・運用する形態クラウドの対義語
パブリック/プライベート/ハイブリッドクラウド不特定多数向け/特定組織専用/両者の併用プライベートは自社構築でも事業者提供でもあり得る
ソブリンクラウドデータの保存先や適用法令を特定の国・地域内に限定できるクラウドデータ主権の要求に応える形態
クラウドネイティブクラウドの特性(自動拡張・分散)を前提に設計・運用する考え方単に「クラウドに置く」ことではない
クラウドバイデフォルトシステム調達の際にクラウドの利用を第一候補として検討する原則「必ずクラウドにする」ではなく「まず検討する」
イミュータブルインフラストラクチャ稼働中のサーバに変更を加えず、変更時は新しい構成で作り直して置き換える運用パッチ適用による構成のばらつきを避ける狙い
オンデマンド必要なときに必要な量だけ利用する提供形態従量課金と結びつく

直近 10 年でクラウド系は 1 問ずつしか出ていませんが、いずれも定義の一行で決まります。仮想デスクトップを集中管理して端末側に画面転送だけを行う VDI(Virtual Desktop Infrastructure)、必要な資源を必要な量だけ用意して割り当てるプロビジョニング、自社のシステム機能を外部の事業者に API として公開して連携させるオープン API が出題例です。

クラウドの選定基準 ― SLA とロックイン

選定では、機能や価格の前に 2 つを確認します。第 1 に SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)で、稼働率・障害復旧時間・サポート応答時間といった水準と、達成できなかった場合の措置が明記されているかを見ます。第 2 にベンダーロックインで、独自仕様に深く依存すると他社や自社環境へ移せなくなり、価格交渉力を失います。あわせて、データの保存先の国と適用される法令(ソブリンクラウドの論点)、退去時のデータ返却・消去の条件も確認します。SLA の設計と運用そのものは第 16 章のサービスマネジメントで扱います。

システム活用促進・評価とデータ利活用

システムは作って終わりではありません。使われるように普及啓発し、実際にどう使われたかを評価・検証し、寿命が来たら計画的に廃棄する、という一連の活動がこの小分類です。直近 10 年の科目 A では、この小分類からの 6 問がすべて「蓄積したデータの分析・活用」に集中しており、普及啓発や廃棄そのものは出ていません。厚みはデータ活用側に置きます。

活用促進と利用実態の評価

普及啓発の手段は、利用者用文書類(利用者マニュアル)・業務マニュアルの整備、講習会、e-ラーニング、人材育成計画です。学習の進捗や履歴を管理する基盤が学習マネジメントシステム、ゲームの要素(達成バッジ・ランキングなど)を学習や業務に取り入れて動機づけを高める手法がゲーミフィケーションです。IT を使える人と使えない人の間に生じる格差がデジタルディバイドで、その解消も普及啓発の目的に含まれます。経営目標の実現に向けてデジタル技術を安全・有効・効率的に使いこなす能力をデジタルリテラシーと呼び、IT リテラシー・メディアリテラシー・セキュリティ意識が含まれます。

導入後の評価では、投資対効果分析、利用者満足度調査、モニタリング、ログ分析・ログ監視を行い、業務内容や業務フローが変わっていないか、運用状況はどうかを把握して改善の方向性を決めます。客観性を確保するために外部専門家による第三者評価・検証を使うこともあります。

用語意味論点
BYODBring Your Own Device。私物の端末を業務に使うこと利便性と引き換えに情報漏えい・管理の問題が生じる
シャドー ITIT 部門が把握していないまま業務に使われている機器・サービス統制外のため、まず可視化して正規のサービスに誘導する
チャットボット問合せに自動応答する仕組みヘルプデスクの一次応対を代替し活用を促進する
システム廃棄機能・性能・運用性・拡張性・コストの観点で寿命と判断したシステムを、廃棄計画を立てて廃棄することデータの消去と情報セキュリティポリシーの遵守が必須
システムライフサイクル企画から開発・運用・保守を経て廃棄に至るまでの一生TCO はこの全期間の費用を指す
レガシー刷新老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムを刷新すること経済産業省の DX レポートが指摘した「2025 年の崖」の中心論点

データ利活用 ― 分析手法と用途の対応

蓄積したデータを経営判断に使うことをデータ駆動経営といい、そのためにデータの品質・定義・権限を組織的に統制する活動がデータガバナンス、データの収集・蓄積・整備・提供を継続的に行う実務がデータマネジメントです。試験では個々の分析手法の名称と用途が問われます。

手法・仕組み何をするか典型的な用途
BI(ビジネスインテリジェンス)蓄積データを集計・可視化して意思決定を支援する売上のドリルダウン分析、ダッシュボード
協調フィルタリング似た嗜好を持つ他の利用者の行動から推薦する「この商品を買った人はこれも買っています」
アソシエーション分析同時に発生する事象の組合せを支持度・確信度で見つけるバスケット分析による併売商品の発見
データマイニング大量データから統計的な規則性や傾向を掘り出す解約の予兆となる行動パターンの抽出
テキストマイニング自由記述の文章を単語に分解して傾向を分析する問合せ内容・アンケート自由回答の分類

オープンデータは 2 回出題されており、正解文はどちらも 3 つの要件で構成されます。すなわち、営利・非営利を問わず二次利用が可能なルールで公開されていること、機械判読に適した形式であること、原則無償で利用できることです。3 要件のうち 1 つを落とした肢が誤答になります。行政が保有するデータを企画・設計の段階から公開を前提に整えておく考え方をオープンデータバイデザインといい、官民データ活用推進基本法に基づく取組みとして出題されました。AI の活用については、公平性・透明性・説明責任・人間の関与といった観点を整理した AI 利活用のガイドラインが各所で示されており、業務適用の際にはこれらを前提に検討します。

システム化計画 ― 企画プロセスの 2 段構え

ここからは、戦略を 1 つのシステムに落とし込む流れに入ります。IPA が公開している共通フレーム 2013(SLCP-JCF2013)では、開発の前に企画プロセスと要件定義プロセスが置かれ、企画プロセスはさらに「システム化構想の立案」と「システム化計画の立案」の 2 段に分かれます。この構造と各プロセスの代表的な作業が、直近 10 年で 3 回そのまま問われています。

① システム化構想 経営課題と IT 動向 ② システム化計画 実現性・体制・費用 ③ 要件定義 業務・機能・非機能 ④ RFI 情報提供依頼 ⑤ RFP・RFQ 提案・見積の依頼 ⑥ 提案評価 重み付け評価表 ⑦ 契約 役割分担と費用 RFI・RFP・RFQ は発注者が出す文書、提案書・見積書は供給者が返す文書 RFI で候補を絞り、RFP で正式に提案を求める順序が頻出
図 18-7 企画から契約までの一本道(上段は左から右、下段は右から左に進みます)。要件定義が RFI・RFP より前にある点が重要で、「何を作るか」が決まらないうちに提案は依頼できません。見積り依頼に必要な文書を問われたら要件定義書が答えです。

システム化構想の立案 ― 経営課題から出発する

構想立案では、対象業務システムの課題を定義し、業務を分析し、適用できる情報技術を調査したうえで、ビジネスモデルと業務プロセスを企画し、システム方式を策定します。さらに業務運用の評価指標を設定し、費用とシステム投資効果を予測し、情報システム戦略との整合を検証してから承認を受けます。成果物はシステム化構想書で、共通フレームでは最上位の業務機能と業務組織の全体像を示すものと位置づけられます。出題では「情報技術動向を調査し、競争優位を得られる利用方法を分析する」という記述が構想立案の作業として正解になりました。誤答肢には、後工程(計画立案・要件定義)の作業が置かれます。

システム化計画の立案 ― 実現できるかを詰める

計画立案では、基本要件の実現性を検討し、開発スケジュールの大枠を作り、システム選定方針を定め、プロジェクト推進体制を決めます。加えて、システム移行・運用と保守・環境整備・教育訓練・品質に対する基本方針を明確にし、システム運用の評価指標を設定して承認を受けます。全社を対象にした全体システム化計画と、個々のシステムを対象にした個別システム化計画があり、責任者としてプロジェクトオーナーと実行責任者を置きます。

2 段に分ける理由 構想立案は「そもそもやるべきか」を経営の言葉で決める段階、計画立案は「本当にできるか」を体制・費用・スケジュールで詰める段階です。作業の名前を暗記するより、この問い方の違いで振り分けると、プロセス名と作業を入れ替えた誤答肢を切れます。

SoR・SoE・SoI とパッケージ適用の方針

区分正式名称性格と求められる品質
SoRSystems of Record記録のシステム。会計・受発注などの基幹系。正確性・安定性・整合性が最優先で、変更頻度は低い
SoESystems of Engagementつながりのシステム。顧客との接点(アプリ・EC・SNS 連携)。俊敏性と変化への追随が最優先
SoISystems of Insight洞察のシステム。SoR と SoE のデータを分析して知見を得る

パッケージやクラウドサービスを使う場合は、製品の標準機能に業務のやり方を合わせるFit to Standard という方針が取られます。標準機能をそのまま使うことを OOTB(Out Of The Box)といい、いずれもアドオン開発を減らして導入期間と保守コストを抑える狙いです。逆に自社業務に合わせて作り込むほど、バージョンアップのたびに改修が必要になります。

計画で検討する項目と投資回収期間の型

全体開発スケジュールでは、対象をサブシステムに分割し、優先順位を付けて、要員・納期・費用・品質のバランスを取ります。要員教育計画では、教育・訓練の基本要件、体制、スケジュール、対象者を決めます。導入リスク分析では、リスクの発生頻度・影響・範囲を見積もり、リスク回避・損失予防・損失軽減・リスク移転・リスク保有といった対応を選びます。想定した損害は財産損失・賠償責任損失・純収益損失・人的損失に分けて考えます。リスクが顕在化した場合に備えてあらかじめ対処方法を定めておく計画がコンティンジェンシープランで、製造委託を題材に 1 回出題されています。

投資の意思決定法としては PBP(Pay Back Period:投資回収期間)が中分類 18 で最多の 4 回出題されており、うち 1 回が計算型でした。定義選択が 3 回、計算が 1 回という配分です。

計算の型: PBP(投資回収期間)

PBP = 累積キャッシュフローが投資額に達するまでの年数。判定は「短いほど良い」。

例題: 投資額 900 万円。年間の回収額が 1 年目 400 万円、2 年目 300 万円、3 年目 300 万円、4 年目 200 万円のとき、投資回収期間は何年か。

  1. 年ごとの回収額を累積する: 1 年目 400、2 年目 700、3 年目 1,000(単位は万円)
  2. 累積が投資額 900 に達する年を探す: 2 年目末は 700 で不足、3 年目末は 1,000 で超える
  3. 年単位で答えるなら 3 年。端数まで按分するなら、3 年目に必要な残り 200 ÷ 3 年目の回収 300 = 0.67 年を足して約 2.7 年

注意: 回収額の合計が大きいシナリオが最短とは限りません。合計 1,600 万円でも前半の回収が少なければ、合計 1,400 万円で前半に集中するシナリオより回収は遅くなります。

NPV(正味現在価値)は 2 回とも「3 年間・3 シナリオの回収額から NPV が最大のものを選ぶ」形で、正解はいずれも早期に多く回収するシナリオでした。回収額の合計が同じなら、早く受け取るほど割引による目減りが小さく NPV は大きくなります。この性質を知っていれば割引計算を省ける場合があります。割引計算そのものの手順は第 21 章で扱います。

要件定義 ― 業務要件・機能要件・非機能要件

要求分析は、要求項目を洗い出して分析し、システム化のニーズを整理し、前提条件や制約条件をまとめる作業です。現状の業務を出発点にする現状指向型アプローチと、目指す姿から逆算する目的指向型アプローチがあります。要求を体系的に扱う学問・技術体系が要求工学(Requirements Engineering)、ビジネスアナリシスの知識体系が BABOK です。手法としては、アンケート、インタビュー(質問を固定する構造化・大枠だけ決める半構造化・自由に聞く非構造化)、意見をグループ化する親和図、機能分析、構造分析、データフローモデル、E-R モデル、並行動作を扱うペトリネットモデル、目標から要求を分解するゴール指向要求分析(KAOS 法、アイスター)が挙がっています。

要件定義プロセスの手順は「誰の要求か」から始まる

共通フレームの要件定義プロセスは、利害関係者の識別 → 利害関係者のニーズの抽出 → 要件への変換 → 分析 → 妥当性確認 → 合意・承認という順に進みます(ただし公式ガイドはこれを固定的な一方向の手順ではなく反復して行う活動と位置づけており、妥当性確認は本来は別プロセスに属します)。出題はこの入口の 2 つ(「利害関係者を識別する」「利害関係者のニーズを抽出する」)に集中しており、誤答肢には設計・テストといった後工程の作業が置かれます。要件定義は「何を作るか」を決める工程であり、設計は「どう作るか」を決める工程だという線引きで判別できます。

責任の所在 要件定義は発注者(ユーザー企業)の責任で行う工程です。業務をどう変えるかを決められるのは業務を持つ側だからです。ベンダーは支援・助言をしますが、要件の決定と承認を代行できません。この前提が、後述する契約類型(要件定義は準委任)の理由にもなっています。

3 分類 ― 業務要件・機能要件・非機能要件

業務要件 業務の内容・手順・体制 何ができるか どの品質で動くか 機能要件 システムが提供する機能 非機能要件 機能以外の品質・制約 可用性 稼働率・RTO 性能・拡張性 応答時間・処理量 運用・保守性 監視・バックアップ 移行性 移行方式・期間 セキュリティ 認証・ログ・暗号 システム環境 設置環境・省電力
図 18-8 要件の 3 分類と、下段は IPA「非機能要求グレード」の 6 大項目です。業務要件が上位にあり、そこから機能要件と非機能要件が導かれます。「4 時間以内のトレーニングで新画面を操作できる」のような要求は機能要件ではなく、非機能要件のうち使用性にあたります。

シラバスが挙げる要件の種類は、業務要件定義・業務処理手順・機能要件定義・非機能要件定義に加え、性能要件、セキュリティ要件、周辺インタフェース要件、情報・データ要件、運用要件、移行要件、保守要件です。非機能要件は 2 回出題され、1 回は「システム基盤に関わる項目」(可用性・性能・拡張性・運用性・保守性)を選ぶ形、もう 1 回は品質特性の一つである使用性の具体例を選ぶ形でした。要件を機能/非機能に振り分けるだけでなく、非機能の中の品質特性名まで問われる 2 段構えです。

要求はすべてを同じ重みで実現できないため、優先順位を付けます。代表的な枠組みが MoSCoW で、Must have(必須)・Should have(あるべき)・Could have(あればよい)・Won't have(今回は対象外)の 4 段階に分けます。合意した要件は要件定義書として承認を受け、以後の変更は要件変更のルールに従います。要求の根拠と成果物の相互関係が文書化され、仕様変更の影響を追跡・検証できる状態をトレーサビリティといい、直近 3 年で新たに出題されました。合意形成の場を進める技術がファシリテーション、決定の経過と根拠を説明できることがアカウンタビリティです。

定義した要件が正しいかを確かめる手段も規格化されています。要求工学に関する規格 JIS X 0166 では検証の手法として、文書を人が読んで要件への適合度合いを検査するインスペクション、分析、実証、試験が挙げられており、「文書の要件遵守の度合いを検査する手法」を選ばせる出題ではインスペクションが正解でした。また、機能が有効に働くことに加えて、使う人の快適さや楽しさといった体験価値まで含めて設計する思想が UX(User Experience)デザインで、画面の見た目だけを指すものではありません。

要件定義の手法と UML 図の使い分け

構造化分析手法では、処理をプロセス仕様と DFD で表し、データ項目を DD(Data Dictionary:データ辞書)にまとめ、条件と処理の組合せを決定表(デシジョンテーブル)やデシジョンツリーで整理します。データを中心に据える設計方針が DOA(Data Oriented Approach:データ中心アプローチ)です。オブジェクト指向分析では UML を使い、古典的な手法としてコード・ヨードン技法、シュレア・メラー技法が用語例に挙がっています。

UML 図表現できるもの出題での目印
アクティビティ図処理の流れと、条件による分岐・並行処理・同期「分岐」「並行処理」「同期」の 3 語(3 回出題)
ユースケース図アクター(利用者・外部システム)とシステムが提供する機能の関係「利用者と業務範囲を分離して明示」
クラス図クラスの属性・操作と、クラス間の関連データアーキテクチャの情報体系整理図として使う
シーケンス図オブジェクト間のメッセージのやり取りを時間順に並べたもの「時間順」「相互作用」
状態マシン図1 つのオブジェクトが取る状態と、遷移のきっかけ「状態」「イベント」
ここがひっかけ アクティビティ図とユースケース図は、説明文を互いに付け替えた誤答肢が定番です。「分岐・並行処理・同期」が出てきたらアクティビティ図、「利用者・外部システム・業務範囲」が出てきたらユースケース図と、キーワードで機械的に対応させます。

調達計画・実施 ― RFI から契約まで

調達計画では、要件定義を踏まえて、既成の製品やサービスを買うのか、社内で開発するのか、外部に委託するのかを選びます。この判断のよりどころが内外作基準です。競争力の源泉になる業務は内製し、標準化された業務は外部の製品・サービスを使う、という切り分けが典型です。調達の対象・要求事項・条件を定義したうえで、次の実施段階に進みます。入札への参加を募る文書は IFB(Invitation For Bids:入札募集)です。

RFI・RFP・RFQ ― 誰が誰に何を求める文書か

文書発行者 → 宛先目的と主な記載事項
RFI(情報提供依頼書)調達者 → 供給者候補システム化の目的や業務内容を示し、実現手段や製品・技術に関する情報の提供を依頼する。候補を絞り込む段階の文書(案件によっては絞り込みを前提としない広い情報収集として使われることもあります)
RFP(提案依頼書)調達者 → 供給者候補調達対象システム、提案依頼事項、調達条件を示して提案書の提出を依頼する。対象範囲・システムモデル・サービス要件・目標スケジュール・契約条件・ベンダーの経営要件・プロジェクト体制要件・技術及び実績評価を記載する(これらは実務上の記載例であり、全項目を必須とする一次規格があるわけではありません)
RFQ(見積依頼書)調達者 → 供給者候補数量・仕様・納期を示して見積書の提出を依頼する
提案書供給者 → 調達者RFP を基に検討したシステム構成・開発手法・体制を提示する
見積書供給者 → 調達者原価構成・工期を含む費用を提示する
出題実績 RFI は直近 10 年で 4 回出題され、4 回とも「情報システムの調達で作成される RFI の説明はどれか」という同一形式の再出題です。正解文は「調達者がシステム化の目的や業務内容を示し、供給者候補に情報提供を依頼する」に固定されています。誤答肢は RFP・RFQ・提案書の説明で、発行主体(調達者か供給者か)と目的(情報提供か、提案か、見積りか)を差し替えて作られます。

調達の方法には、価格だけで決める一般競争入札のほか、提案内容を競わせる企画競争入札、価格と技術評価点を合算して評価する総合評価落札方式(加算方式)があります。一定金額以上の政府調達には WTO 政府調達協定に基づく手続が適用されます(対象となる機関・品目の調達であることも条件です)。あわせて、調達を適切に行うためにシステム資産・ソフトウェア資産を管理する必要があり、ソフトウェアのサプライチェーンマネジメント、ライセンス管理、構成管理が用語例に挙がっています。外部資源としては、SI 事業者、ASP、IDC、Web サービス、ソフトウェアパッケージ、OSS の適用のほか、製造委託の形態として OEM・ODM・ファブレス・ファウンドリが並びます。

提案評価 ― 重み付け評価表の計算

複数の提案を比べるときは、評価項目ごとに重みを決め、各社の評価点を掛けて合計し、満点に対する割合で比較します。この計算は中分類 18 で 2 回、中分類 17 でも同型が 1 回出ており、正解の数値まで同じ再出題が含まれます。落とすと痛い、確実に取れる型です。

評価項目 重み 評価点 重み×評価点 機能適合度 4 5 20 費用 3 2 6 技術力・実績 2 4 8 保守体制 1 3 3 合計 10 ― 37 満点 = 重み合計 10 × 最高点 5 = 50 点 達成度 = 37 ÷ 50 × 100 = 74 % 重みを無視した単純平均は (5+2+4+3) ÷ 4 ÷ 5 = 70 % で不正解
図 18-9 重み付け評価の計算。つまずくのは分母です。分母は「重み合計 × 最高評価点」であって、重み合計(10)でも評価項目数(4)でもありません。右下の色を付けた枠が最終的な答えの位置です。

計算の型: 重み付け評価による達成度

達成度(%) = Σ(重み × 評価点) ÷ Σ(重み × 最高評価点) × 100

例題: 評価項目 4 つの重みが 4・3・2・1、評価は 5 段階(最高 5 点)。A 社の評価点が順に 5・2・4・3 のとき、A 社の達成度は何 % か。

  1. 項目ごとに 重み × 評価点 を求める: 4×5 = 20、3×2 = 6、2×4 = 8、1×3 = 3
  2. 合計する: 20 + 6 + 8 + 3 = 37
  3. 満点を求める: 重み合計 10 × 最高評価点 5 = 50
  4. 割って百分率にする: 37 ÷ 50 × 100 = 74 %

比較の例: B 社の評価点が 3・5・4・3 なら、12 + 15 + 8 + 3 = 38 で 76 %。機能適合度で勝る A 社より B 社が上回ります。重みの大きい項目で負けても、他項目の積み上げで逆転し得るのがこの評価方式の性質です。

契約 ― 工程ごとに類型が変わる

経済産業省と IPA が公表している「情報システム・モデル取引・契約書」は、工程ごとに適した契約類型を示しています。直近 10 年で 4 回出題され、準委任側から聞く形と請負側から聞く形の両方があります。判断の軸は「その工程の成果物が、契約の時点で確定しているか」です。

開発の進行 企画 準委任 要件定義 準委任 外部設計 準委任・請負 内部設計〜結合テスト 請負 運用テスト 準委任 多段階契約: 工程の開始ごとに前提条件を見直して再見積りする 準委任は「作業の遂行」、請負は「仕事の完成」を約束する 機能が未確定な工程は請負にできない、が判断の軸
図 18-10 工程と契約類型の対応。破線は多段階契約の区切りで、ここで前提条件を見直して再見積りします。多段階契約の目的は「総額を早期に固定すること」ではなく、その逆に「工程ごとに見直せるようにすること」です。
契約形態約束すること費用の決まり方
請負契約仕事の完成成果物に対する対価。定額が基本
準委任契約善良な管理者の注意をもって作業を遂行すること作業量や期間に応じた対価
定額契約あらかじめ決めた金額で実施超過分は受注側の負担
実費償還契約(CPFF・CPIF)実際にかかった費用を精算CPFF は固定額の報酬、CPIF は成果に応じた報奨金を上乗せ
Time & Material 契約投入した時間と資材に応じて支払う作業量が読めない場合に使う
レベニューシェア契約成果として得られる収益を分配する初期費用を抑える代わりに収益を分け合う
ライセンス契約ソフトウェアの使用許諾売上に連動するランニングロイヤリティ、第三者への再許諾を認めるサブライセンス、改良成果を許諾元へ還元するグラントバックといった条項がある

直近では、ネットワーク試験の遅延で生じた追加費用をどちらが負担するかを事例から判断させる読解型も出ています。用語の暗記ではなく、契約上どちらの責任範囲かを本文から読む問題です。請負・準委任と労働者派遣の違い(指揮命令権の所在)は第 22 章で扱います。

調達に伴うリスクは、品質リスク・納期リスク・費用超過リスク・要員スキルに関するリスクに分けて分析します。加えて、内部統制・法令遵守の観点、環境に配慮した製品を優先するグリーン調達、人権や労働環境に配慮した CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)調達の観点からも評価が必要です。

ひっかけポイント

ここがひっかけ 1 SOA の誤答肢は、2 要素のうち片方だけを述べます。「ソフトウェア部品を蓄積して再利用しやすくする」はオブジェクト指向の再利用、「既存アプリケーション間の接続を仲介する」は EAI、「基幹業務を一つの統合パッケージでまかなう」は ERP です。部品化と、業務プロセスとの対応付け・連携の両方がそろっている肢を選びます。
ここがひっかけ 2 EA の 4 分類は BA・DA・AA・TA だけです。選択肢にはセキュリティアーキテクチャ、ネットワークアーキテクチャ、プロセスアーキテクチャといった、それらしい名前が混ぜられます。ネットワークはテクノロジアーキテクチャの中身(ネットワーク構成図)であって、独立した分類ではありません。
ここがひっかけ 3 RFI・RFP・RFQ の入れ替えは、発行主体と目的の 2 か所で作られます。発行主体を「供給者が作成する」に差し替えた肢(それは提案書・見積書)、目的を「提案書の提出を求める」に差し替えた肢(それは RFP)が定番です。RFI で候補を絞り、RFP で提案を求めるという順序も併せて確認します。
ここがひっかけ 4 契約類型の逆転に注意します。「要件定義は請負、内部設計は準委任」は逆です。要件定義は成果物が確定していないので請負にできず、内部設計以降は仕様が固まっているので請負にできる、という因果で覚えます。多段階契約の目的を「契約時に総額を固定するため」とする肢も誤りで、目的は工程ごとに前提を見直して再見積りできるようにすることです。
ここがひっかけ 5 数値問題には 2 つの罠があります。第 1 に重み付け評価の分母で、正しくは「重み合計 × 最高評価点」です。重み合計だけで割る、評価項目数で割る、重みを掛けずに平均する肢が並びます。第 2 に「合計が大きい=得」の思い込みで、PBP では回収総額が最大のシナリオ、NPV では割引前合計が最大のシナリオが誤答として置かれます。どちらも早期に回収するほど有利です。

理解度チェック(科目 A 形式)

Q1. SOA(サービス指向アーキテクチャ)の説明として、適切なものはどれか。
  1. 業務で使うソフトウェア部品をライブラリとして蓄積し、開発者が再利用しやすくする考え方
  2. 既存の複数のアプリケーションの間にデータ変換の基盤を置き、システム間の接続を仲介する仕組み
  3. 業務上の機能を独立したサービス部品として定義し、業務プロセスとの対応付けと部品間の連携を容易にする考え方
  4. 会計・人事・生産などの基幹業務を一つの統合パッケージでまかない、データを一元管理する仕組み

正解: ウ SOA は「業務機能をサービス部品に分割する」ことと「その部品を業務プロセスに対応付けて連携させる」ことの両方を指します。ア は部品の再利用だけを述べたオブジェクト指向の説明、イ は接続の仲介だけを述べた EAI の説明、エ は統合パッケージによる一元管理を述べた ERP の説明です。

Q2. プログラムマネジメントの説明として、適切なものはどれか。
  1. 目標が明確な複数のプロジェクトを組み合わせ、相互の関係を最適化して組織の戦略実現を図る活動
  2. 一つのプロジェクトについて、納期・コスト・品質の目標内で完了させるよう統制する活動
  3. 投資案件をリスクとリターンで分類し、全社の投資枠の中で採否と資源配分を決める活動
  4. 稼働後のシステムの利用実態と投資対効果を評価し、改善の方向性を明確にする活動

正解: ア プログラムマネジメントは、複数プロジェクトを統合して組織の使命をより良く達成する活動で、正解文には「複数」「統合」「戦略の実現」がそろいます。イ は個々のプロジェクトマネジメント、ウ は IT ポートフォリオの管理、エ はシステム活用促進・評価の説明です。

Q3. EA(エンタープライズアーキテクチャ)で用いる 4 つのアーキテクチャのうち、ビジネスアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジアーキテクチャ以外のものはどれか。
  1. セキュリティアーキテクチャ
  2. データアーキテクチャ
  3. ネットワークアーキテクチャ
  4. プロセスアーキテクチャ

正解: イ EA の 4 体系は BA・DA・AA・TA で、残る 1 つはデータアーキテクチャです。ア と エ は EA の分類に存在しません。ウ のネットワーク構成図はテクノロジアーキテクチャの成果物であり、独立した分類ではありません。

Q4. システム管理基準に沿って情報戦略を策定する段階で作成され、組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。
  1. 個別の開発計画
  2. 運用管理計画
  3. 移行計画
  4. 全体最適化計画

正解: エ 情報戦略の段階で組織全体のあるべき姿を示すのが全体最適化計画で、情報システム化基本計画に相当します。ア は全体最適化計画を受けて個々のシステムごとに立てる 1 段下の計画、イ と ウ はさらに後の運用・移行段階の計画です。

Q5. 経済産業省の DX 推進指標において、IT システムに求められる要素として経営者が確認すべき事項はどれか。
  1. 情報システム部門の要員 1 人あたりが保守しているシステムの数
  2. 環境変化に迅速に対応してシステムを提供できるデリバリースピード
  3. 前年度に対する IT 運用コストの削減率
  4. 基幹システムの年間稼働率

正解: イ DX 推進指標が IT システムに求めるのは、ビジネス環境の変化に合わせて素早く作り替えられること、すなわちデリバリースピードです。ア・ウ・エ は従来型の効率や安定運用を測る運用指標で、変化への対応力を測るものではありません。

Q6. オープンデータの説明として、適切なものはどれか。
  1. 営利・非営利を問わず二次利用が可能なルールで公開され、機械判読に適した形式であり、原則として無償で利用できるデータ
  2. 特定の研究目的に限って申請に基づいて提供され、加工しない形での利用が求められるデータ
  3. 誰でも閲覧できるが、機械判読に適した形式での提供は求められず、二次利用には個別の許諾が必要なデータ
  4. 個人が特定できないように加工することで、本人の同意なく第三者へ提供できるようにしたデータ

正解: ア オープンデータの要件は「二次利用が可能」「機械判読に適する」「原則無償」の 3 つで、ア はすべてを満たします。イ は利用目的と加工を制限しており二次利用の要件を欠き、ウ は機械判読と二次利用の要件を欠きます。エ は匿名加工情報の説明です。

Q7. 共通フレーム 2013 において、システム化構想の立案で行う作業はどれか。
  1. 開発したソフトウェアが要件を満たすかを確認するテストの計画を作成する
  2. 利害関係者の要求を機能要件と非機能要件に分けて要件定義書にまとめる
  3. 適用できる情報技術の動向を調査し、競争優位を得られる利用方法を分析する
  4. 供給者から提出された提案書と見積書を、評価基準に沿って比較評価する

正解: ウ 構想立案では、経営課題を定義し、業務を分析し、適用情報技術を調査してビジネスモデルと業務プロセスを企画します。ウ はこの適用情報技術の調査にあたります。イ は要件定義プロセス、エ は調達の実施、ア は開発以降の工程の作業です。

Q8. 共通フレームの要件定義プロセスに含まれる作業はどれか。
  1. サブシステムへの分割方針を決め、内部設計の仕様を確定する
  2. 経営戦略を踏まえて情報システム化基本計画を策定する
  3. 単体テストの結果をレビューし、結合テストの実施可否を判断する
  4. システムに関わる利害関係者を識別し、そのニーズを抽出する

正解: エ 要件定義プロセスは、利害関係者の識別とニーズの抽出から始まります。ア と ウ は開発プロセス(設計・テスト)の作業、イ は要件定義よりも前の情報システム戦略・企画の段階の作業です。「何を作るか」を決めるのが要件定義、「どう作るか」を決めるのが設計という線引きで振り分けます。

Q9. 非機能要件のうち、使用性に関する要件の例はどれか。
  1. 新任の担当者が 4 時間以内の教育で受注入力画面を操作できること
  2. 障害が発生してから 2 時間以内に業務を再開できること
  3. 取引先ごとの与信限度額を登録し、超過時に警告を表示できること
  4. ピーク時に毎秒 200 件の受注を処理できること

正解: ア 使用性は「利用者がどれだけ容易に使えるか」を表す品質特性で、習得に要する時間はその代表的な指標です。イ は可用性(目標復旧時間)、エ は性能(処理量)の要件です。ウ はシステムが提供する機能そのものなので、非機能要件ではなく機能要件です。

Q10. 業務要件定義において、処理の分岐、並行処理及び同期を表現できる UML の図はどれか。
  1. クラス図
  2. アクティビティ図
  3. ユースケース図
  4. 状態マシン図

正解: イ アクティビティ図は処理の流れを表し、条件による分岐、並行処理、複数の流れの同期を記述できます。ア はクラスの構造と関連、ウ はアクターとシステム機能の関係(業務範囲の明示)、エ は 1 つのオブジェクトが取る状態とその遷移を表す図です。

Q11. 情報システムの調達で作成される RFI の説明として、適切なものはどれか。
  1. 供給者が、調達者の要求に対するシステム構成や開発手法を示した文書
  2. 調達者が、調達対象システムや提案依頼事項、調達条件を示して提案書の提出を求める文書
  3. 調達者が、システム化の目的や業務内容を示し、供給者候補に実現手段に関する情報の提供を求める文書
  4. 供給者が、原価構成と工期を明示して費用を提示する文書

正解: ウ RFI は調達者が発行し、候補となる事業者から実現手段や技術の情報を集めて候補を絞り込むための文書です。イ は同じ調達者が出す文書ですが目的が提案の依頼なので RFP、ア は提案書、エ は見積書で、いずれも供給者が返す文書です。

Q12. 「情報システム・モデル取引・契約書」において、準委任型の契約が適切とされる工程の組合せはどれか。
  1. 外部設計と内部設計
  2. 内部設計とプログラミング
  3. プログラミングと結合テスト
  4. 要件定義と運用テスト

正解: エ 要件定義は成果物が契約時点で確定しておらず、運用テストは発注者が主体となって業務観点で確認する工程なので、いずれも作業の遂行を約束する準委任型が適します。イ と ウ は仕様が固まっており仕事の完成を約束できるため請負型が適します。ア は請負型が適する内部設計を含むため誤りです。

Q13. システム化の目標達成度を、評価項目ごとの重みと 4 段階(最高 4 点)の評価点から求める。評価項目 3 つの重みが 5・3・2 で、評価点が順に 4・2・3 のとき、目標達成度は何 % か。
  1. 32.0
  2. 64.0
  3. 75.0
  4. 80.0

正解: エ 重み × 評価点の合計は 5×4 + 3×2 + 2×3 = 20 + 6 + 6 = 32、満点は重み合計 10 × 最高評価点 4 = 40 なので、32 ÷ 40 × 100 = 80 % です。ア は加重合計 32 をそのまま百分率にした値、イ は満点の計算で最高評価点を 5 点と誤った値(32 ÷ 50)、ウ は重みを無視した単純平均((4 + 2 + 3) ÷ 3 ÷ 4)です。

Q14. 投資額 1,200 万円のシステムについて、1 年目から 4 年目までの回収額(単位: 万円)が、シナリオ a は 300・300・300・300、シナリオ b は 500・400・300・200、シナリオ c は 600・600・100・100、シナリオ d は 200・300・500・600 と見込まれる。投資回収期間が最も短いシナリオはどれか。
  1. シナリオ a
  2. シナリオ b
  3. シナリオ c
  4. シナリオ d

正解: ウ 累積回収額が 1,200 に達する年を数えます。c は 600 → 1,200 で 2 年目、b は 500 → 900 → 1,200 で 3 年目、a は 4 年目、d は 200 → 500 → 1,000 → 1,600 で 4 年目です。エ の d は回収総額 1,600 万円で最大ですが、前半の回収が少ないため回収期間は最短になりません。ア と イ も c より長くかかります。

まとめ

論点押さえる形直近 10 年 19 回の出題数
SOA部品化 + 業務プロセスとの対応付け + 連携7 回
プログラムマネジメント複数プロジェクトの統合で戦略を実現する4 回
PBP(投資回収期間)累積キャッシュフローが投資額に達する年数。短いほど良い4 回(うち計算 1 回)
RFI調達者 → 供給者候補。情報提供の依頼4 回
情報システム・モデル取引・契約書要件定義・運用テスト=準委任、内部設計〜結合=請負4 回
EABA・DA・AA・TA の 4 体系で全体最適化3 回(To-Be モデル 1 回を含めて 4 問)
ROI利益額 ÷ 投資額(定義のみで計算は未出)3 回
アクティビティ図分岐・並行処理・同期3 回(ユースケース図 1 回)
共通フレームのプロセス企画=構想 + 計画、要件定義=利害関係者の識別とニーズ抽出3 回
重み付け評価Σ(重み × 評価点) ÷ Σ(重み × 最高評価点) × 1002 回(中分類 17 で同型 1 回)
NPV早期に回収するシナリオが有利2 回(いずれも計算)
非機能要件可用性・性能・拡張性・運用・保守性など。使用性の例は教育時間2 回
DX 推進指標環境変化に対応するデリバリースピード2 回
全体最適化計画情報戦略策定段階の成果物2 回
オープンデータ二次利用可・機械判読・原則無償の 3 要件2 回
システム化構想の立案情報技術動向の調査、最上位の業務機能と業務組織の全体像2 回
BCP中断後に復旧・再開する手順の文書化2 回

この章では「経営戦略に沿って」という前提を繰り返してきました。次章では、その経営戦略そのものをどう分析・立案するのか、SWOT・PPM・5 フォース・アンゾフの成長マトリクス・バランススコアカードといったフレームワークと、技術戦略マネジメントを扱います。