宅建士合格教科書|2026年度(令和8年度)
第 23 章|問 46〜50 で毎年 5 問(登録講習修了者は免除)

5問免除科目 — 機構・景表法・統計・土地・建物

問 46〜50 の 5 問。統計は最新数値、土地建物は常識+αで満点を狙う

この章で学ぶこと

問46〜50 で毎年 5 問出題されます(登録講習修了者は免除)。統計以外は出題パターンがほぼ固定しており、常識と少しの知識で解ける良問が多い分野です。4 問以上の確保を目標にしてください。

この 5 問は「5問免除科目」と呼ばれますが、免除を受けない一般受験生にとっては、権利関係よりはるかに取りやすいボーナス問題群です。問46〜50 は分野が固定されており、どの問がどの分野かを事前に知っているだけで解く順番を組み立てられます。

問分野攻略の芯
問46住宅金融支援機構「原則=証券化支援/例外=直接融資の限定列挙」の一点勝負
問47景品表示法(不動産の表示に関する公正競争規約)数字と定義(80m・1年・1.62㎡)+明示義務の列挙
問48統計最新の公表値。増減の方向と連続年数だけを覚える
問49土地地形ごとの宅地適否。低いところ・水が集まるところは不適
問50建物構造と材料の常識。極端な断定肢が誤り

住宅金融支援機構 — 「原則は貸さない」から出発する

かつての住宅金融公庫は、国が個人に直接、長期固定金利で住宅資金を貸していました。2007年に独立行政法人住宅金融支援機構へ改組されると、方針が180度変わります。直接融資は原則としてやめ、民間金融機関が長期固定金利の住宅ローンを出せるように「支援」する立場に回りました。民間にできることは民間に任せ、採算の合わない政策分野にだけ国の資金を使う、という役割分担です。

この「原則=支援(間接)/例外=直接融資」という構造さえ頭に入れば、問46 の選択肢の半分は判断がつきます。「機構は◯◯の資金を直接貸し付ける」という肢は、例外の列挙に載っているものだけが○です。

証券化支援業務(買取型)とフラット35

民間金融機関が35年もの長期固定ローンを出しにくいのは、預金という短期の資金で長期の貸付けを賄うと金利変動リスクを抱え込むからです。そこで機構が、金融機関の実行した長期固定金利の住宅ローン債権を買い取り、それを担保にした債券(MBS=資産担保証券)を発行して市場から資金を調達します。金融機関はリスクを手放せるので長期固定を出せる——これがフラット35の仕組みです。

利用者B 住宅ローンを借りる 民間金融機関 金利は各行が決定 住宅金融支援機構 債権を買い取る 投資家 MBSを購入 ①長期固定で融資 ②返済 ③債権を譲渡 ④買取代金 ⑤ MBS発行 ⑥ 購入代金 機構は民間の住宅ローン債権を 買い取ってMBSを発行し、 市場から資金を調達する =自ら貸すのではない
図 23-1 フラット35(買取型)の資金の流れ。機構がお金を出す相手は利用者Bではなく金融機関(債権の買取代金)である点が要です。①の金利は各金融機関が独自に決めるので、フラット35でも取扱金融機関によって金利が違います。

買取りの対象は、申込者本人またはその親族が居住する住宅の建設・購入資金に係る貸付債権です。したがって賃貸住宅の資金は買取対象になりませんが、中古住宅の購入資金も借換えのための資金も対象になります。融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると金利は高めに設定されます。また証券化支援事業では、子育て世帯・若年夫婦世帯などについて当初一定期間の金利を引き下げる制度(【フラット35】子育てプラス等)も設けられています。

もう一つの保証型は、民間の住宅ローンに機構が住宅融資保険を付け、その債権を担保として発行される債券に保証を与える方式です。債権を買い取るのが買取型、保険と保証で支えるのが保証型と覚えます。ほかに機構は団体信用生命保険業務(債務者の死亡・重度障害時に保険金で残債を弁済)も行います。

機構は業務の一部を外部に委託できますが、委託できる範囲は法令で限定されています。まず、貸付けの決定は委託できません——貸すかどうかを決める判断そのものは機構が手放さない、というのが制度の骨格です。債権の回収を委託できる相手は金融機関と債権回収会社であり、地方公共団体等に委託できるのは工事の審査や建築物の規模・規格等についての審査です。「機構は貸付けの決定を金融機関に委託できる」という肢は、この一線を越えさせる定番のひっかけです。

直接融資は「限定列挙」— ここだけ覚える

例外として直接融資が認められるのは、民間だけでは供給されにくい政策分野です。列挙されたもの以外は×、と割り切って構いません。

本体=証券化支援業務 例外=直接融資(限定列挙) 買取型:ローン債権を買取り → MBSを発行して資金調達 保証型:民間ローンに保険 +その債券に機構が保証 団体信用生命保険業務 死亡等の場合に残債を弁済 ① 災害復興建築物の建設・購入 ② 災害予防・地震に対する安全性向上 ③ マンションの共用部分の改良 ④ 子ども・高齢者向けの賃貸住宅 ⑤ 高齢者向けのバリアフリー改良 ⑥ 財形住宅融資 ⑦ 一棟リノベーション工事・除却 覚え方は「災害・共用部分・子ども高齢者・財形」
図 23-2 機構の業務マップ。左が原則、右が例外です。右の列に載っていない用途(一般の持家取得資金・賃貸住宅の建設資金など)を「直接貸し付ける」とする肢は誤りになります。⑦は2026年4月1日施行の機構法改正で加わった項目です。

⑤の高齢者向けバリアフリー改良には高齢者向け返済特例があり、生存中は利息のみを支払い、死亡時に元金を一括償還します。年金生活者でも月々の負担を抑えて改修できるようにするための制度です。

2026年法改正

2026年4月1日施行の住宅金融支援機構法改正により、マンション再生への直接融資が2点広がりました。①マンションの一棟リノベーション(躯体を残したまま補強と全専有部分の改修を行う「更新」)の工事に必要な資金の貸付けが新たに対象になりました(工事費への融資であって、リノベーション後の住宅を購入する資金ではない点に注意)。②要除却認定マンションの除却(取壊し)に必要な資金は、従来は建替えや敷地売却に伴って除却後にマンションが再建・活用される場合に限られていましたが、取壊しのみを行う(再建されない)場合にも拡充されました。同日施行の区分所有法大改正(第16章)でマンション再生の決議要件が緩和されたことと一体の措置で、決議はできても資金が付かない、という事態を避けるためのものです。「機構は原則として直接融資を行わないが、例外として〜」という定番の列挙問題に、この2項目が新しい肢として混ざる可能性があります。

景品表示法と表示規約 — 数字と定義がそのまま点になる

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、消費者をだます表示と過大な景品類を規制する法律です。実際に問47 で問われるのは、そのほとんどが業界の自主ルールである不動産の表示に関する公正競争規約からです。この規約は不動産業界の団体が定め、内閣総理大臣(消費者庁長官)および公正取引委員会の認定を受けたもので、法律そのものではありませんが、認定を受けることで法的な後ろ盾を得ています。

違反があった場合、消費者庁長官は措置命令(表示の差止め・訂正広告等)を出すことができます。措置命令の権限は都道府県知事にも与えられているので、「措置命令を出せるのは消費者庁長官だけである」という肢は誤りです。優良誤認表示・有利誤認表示については課徴金納付命令(対象期間の売上額の3%)の対象にもなります。規約違反については、公正取引協議会による警告・違約金の措置もあります。

覚えるべき数字と定義

最頻出は徒歩所要時間です。道路距離80mにつき1分として計算し、1分未満の端数は切り上げます。信号待ち・踏切・坂道・階段の時間は考慮しません。全社共通の物差しを作るためのルールなので、あえて単純化されているのです。

350m ÷ 80m = 4.375 → 切り上げて「徒歩5分」 道路距離 0m 80m 160m 240m 320m 400m 1分 2分 3分 4分 5分 実例 道路距離350m 信号待ち・坂道・階段の時間は考慮しない(切り上げも忘れずに)
図 23-3 徒歩所要時間の計算。80mごとに「分」が1つ増え、はみ出した端数は丸ごと1分に切り上げます。350mは4分ちょうどではなく5分です。起点・終点は物件と施設それぞれの区画のうち最も近い地点で測ります(マンション・アパートは建物の出入口が起点・終点になります)。
用語・項目規約上の基準典型的なひっかけ
徒歩所要時間道路距離80mにつき1分。端数は切上げ「切捨て」「信号待ちを加算」「直線距離で算出」
自転車の所要時間道路距離を明示して、走行に要する時間を表示距離を書かずに時間だけ表示してよい
電車・バスの所要時間朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示(平常時は併記可)。乗換えを要するときはその旨平常時の時間だけを表示してよい
新築建築工事完了後1年未満であり、かつ居住の用に供されたことがないもの(両方必要)「1年未満なら入居歴があっても新築」「未使用なら3年でも新築」
新発売新たに造成した宅地・新築住宅について初めて申込みの勧誘を行うこと。数期に分けて販売するときは各期ごとに使える2期目以降に「新発売」は使えない
畳数表示1畳あたり1.62㎡以上の広さがあること1.65㎡・1.8㎡などの数値差替え
面積土地は水平投影面積。建物面積は延べ面積で、車庫・地下室等を含むときはその面積も併記傾斜地は斜面に沿った面積で表示する
二重価格表示過去の販売価格を比較対照とするには、公表日と値下げした日を明示し、値下げの日から6か月以内の表示であること。比較対照にできるのは値下げ直前の価格で、2か月以上実際に販売のために公表していたものに限られる「1年以内なら可」「架空の希望小売価格と比較」
おとり広告①存在しない物件 ②存在するが取引の対象となり得ない物件(売約済み等) ③存在するが取引する意思がない物件——のいずれも禁止「実在する物件なら売約済みでも掲載してよい」
特定用語「完全」「完璧」「絶対」「万全」「日本一」「最高級」等は、客観的事実を明示できる場合を除き使用不可「根拠がなくても主観の表明なら可」
予想図・写真完成予想図はその旨を明示し、現況と異なるときはその旨も明示。取引物件でない建物の写真はその旨を明示同一シリーズなら他物件の写真を使ってよい

特定事項の明示義務(デメリット表示)

買い手にとって不利な事実は、進んで書かなければなりません。「書かなかった」こと自体が違反になります。

対象となる物件明示すべき内容
市街化調整区域内の土地「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません」と16ポイント以上の文字で明示
接道義務を満たさない土地「再建築不可」または「建築不可」と明示
セットバックを要する土地その旨を明示。セットバック部分の面積がおおむね10%以上のときはその面積も明示
私道負担のある土地私道負担部分がある旨とその面積
傾斜地を含む土地傾斜地の割合がおおむね30%以上のときはその旨と割合または面積。30%未満でも、有効利用が著しく阻害される場合はその旨
路地状部分のみで道路に接する土地路地状部分の割合がおおむね30%以上のときはその旨と割合または面積
沼沢地・湿原・軟弱地盤の土地その旨
建築条件付土地「建築条件付土地」である旨、条件の内容、条件が成就しなかったときの措置

混同しやすいのが、学校・病院・商業施設などの公共・公益施設等の表示です。これは不利益事実の明示義務ではなく表示基準のルールで、現に利用できるものを物件からの道路距離または所要時間を明示して表示し、将来設置されるものは整備予定時期を明示します。上の表が「書かないと違反」なのに対し、こちらは「書くなら正しい書き方で」という性質の違いがあります。

暗記テク

明示義務は「買った後で文句が出そうなことは全部書く」と考えれば、細かい列挙を覚えていなくても正誤を判断できます。逆に「〜は明示しなくてよい」という肢は、原則として疑ってかかるのが正解率を上げるコツです。数字は「セットバック10%・傾斜地30%・路地状30%・16ポイント」の4つだけ機械的に覚えます。

統計 — 「方向 × 連続年数 × 出典年次」で覚える

問48 は毎年数値が入れ替わる唯一の分野です。だからこそ作問側も、細かい数字そのものより増えたのか減ったのか(方向)と何年続いているのか(連続年数)を入れ替えて誤答肢を作ります。桁の感覚(約74万戸・約130万件・約13万業者)と方向さえ合っていれば、小数点以下は覚えなくても正解できます。

ここが最重要の注意

以下の数値は2026年8月時点で公表されている最新値です。統計は本書の他章と違い、印刷後に更新されます。とくに宅建業者数(宅地建物取引業法の施行状況調査)は例年、試験年の秋(9〜10月)に翌年度分が公表され、「11年連続」が「12年連続」に更新される可能性が高いのが恒例です。試験直前に必ず、国土交通省の報道発表など一次情報で最新の公表値を確認してください。本試験は例年「出題時点で確定している直近公表分」から出題されます。

統計直近の数値方向・連続年数出典・年次
地価公示 [用途別・全国平均]全用途平均 +2.8%/住宅地 +2.1%/商業地 +4.3%/工業地 +4.9% [圏域別・全用途平均]三大都市圏 +4.6%/地方圏 +1.2% 全用途・住宅地・商業地とも5年連続の上昇。全用途と商業地は上昇幅が拡大、住宅地は前年と同じ上昇幅。工業地は10年連続上昇。圏域別も三大都市圏・地方圏とも5年連続上昇で、東京圏・大阪圏は上昇幅が拡大したが名古屋圏は縮小 国土交通省「令和8年地価公示」(令和8年1月1日時点・2026年3月公表)
新設住宅着工戸数 総戸数 740,667戸(約74万戸)・前年比 ▲6.5%/持家 約20.1万戸/貸家 約32.4万戸/分譲 約20.8万戸 総戸数は3年連続の減少。持家・貸家・分譲住宅のすべてが減少(持家は4年連続、貸家・分譲は3年連続) 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年計)」(2026年1月公表)
土地白書(土地取引) 売買による所有権移転登記件数 約130万件(令和7年・全国) ほぼ横ばいで推移(増加でも減少でもない、という表現が特徴) 国土交通省「令和8年版土地白書」(2026年公表)
法人企業統計(不動産業) 売上高 約58兆8,000億円(+4.2%)/経常利益 約7兆9,796億円(+8.7%)/売上高経常利益率 13.6% 売上高・経常利益とも増加(ともに2年連続)。利益率は全産業(6.8%)を大きく上回る 財務省「年次別法人企業統計調査(令和6年度)」(2025年9月公表)
宅建業者数 132,291業者(約13.2万)。大臣免許 3,158・知事免許 129,133 前年度比 +1,708業者(+1.3%)で11年連続の増加 国土交通省「令和6年度 宅地建物取引業法の施行状況調査」(令和7年3月末時点・2025年10月公表)
上がった 横ばい 下がった 地価公示 全用途 +2.8%(5年連続) 商業地・工業地も上昇 法人企業統計 不動産業の売上・利益 とも増加(2年連続) 宅建業者数 約13.2万・11年連続増 土地白書 売買による所有権 移転登記件数 約130万件 ほぼ横ばいで推移 「増加」「減少」の どちらでもない点が そのままひっかけに 新設住宅着工戸数 総戸数 約74万戸 前年比 ▲6.5% 3年連続の減少 持家・貸家・分譲 すべて減少 持家4年・貸家3年 分譲3年の連続減少 覚えるのは数値より「方向」と「連続年数」
図 23-4 統計の増減方向マップ。地価は上がる・取引はほぼ横ばい・着工は減る・不動産業の利益は増える・業者数は増えるという5つの向きを、まずこの位置関係ごと覚えます。細かい数値は、この向きが合っているかを確かめる材料にすぎません。

周辺指標として、土地白書の国土面積の利用区分(森林 約2,501万ha が最大、農地 約430万ha、宅地 約199万ha)と宅地供給量(令和4年度 全国4,099ha・令和2年度比9.4%減〔平成26年度以降は隔年集計〕、公的・民間とも減少)も過去に出題実績があります。森林が圧倒的に大きく、宅地は国土のごく一部という大小関係だけ押さえてください。

暗記テク

「土地の値段は上がる、家は建たない、取引は横ばい、業界は儲かって業者は増える」——この1文で5本すべての方向が入ります。矛盾する肢(「地価は下落」「貸家は増加」「売上は増えたが利益は減った」「業者数は減少傾向」)はその場で切れます。

土地 — 「高くて水はけがよい」が適地の基準

問49 は地形の名前と宅地としての適否を結びつける問題です。判断の軸は一つ、周囲より高く、水がたまらず、地盤が締まっているか。山側から海側へ向かうほど地盤は軟らかくなり、水が集まりやすくなります。

山側から海側へ向かうほど地盤は軟らかく、水が集まりやすくなります △ 山麓部 △ 扇状地 ◎ 台地・段丘 × 後背湿地 ○ 自然堤防 × 旧河道 × 三角州 ◎ 適する ○ 比較的よい △ 条件つき × 適さない
図 23-5 地形と宅地適否の断面イメージ。全体としては海側へ下がっていきますが、台地・段丘と自然堤防の2つだけは周囲より一段高く盛り上がる点に注目してください。低地はおおむね不適で、その中で自然堤防だけは例外的に適する(周囲より高い砂質の微高地だから)という一点が、毎年のように問われます。図でも自然堤防は旧河道(かつての川筋)に接する側にあり、その背後(内陸側)に広がるのが後背湿地です。台地・段丘も、崖に接する縁辺部と台地上の浅い谷は例外的に危険です。
地形成り立ちと特徴宅地適性
台地・段丘周囲の低地より一段高い平坦面。水はけがよく地盤も安定最も適する。ただし縁辺部は崩壊、台地上の浅い谷は豪雨時の浸水に注意
丘陵地なだらかな起伏地。おおむね良好適する。ただし造成による切土・盛土の境目に注意
山麓部山地のふもと。土砂の堆積地形が混在条件つき。崖錐・麓屑面・地すべり地形は崩壊の危険が大きい
扇状地山地から平地に出る谷の出口に土砂が扇状に堆積水はけはよいが土石流の危険。谷の出口・扇頂部はとくに危険
自然堤防氾濫のたびに河道沿いに砂・礫が積もってできた微高地低地の中では適する。ただし液状化のおそれはある
後背湿地自然堤防の背後に細かい泥がたまってできた低湿地適さない。粘性土の軟弱地盤で排水も悪い
旧河道かつての川筋。周囲より低く、軟弱で排水不良適さない。地震時の被害も大きい
谷底平野谷を埋めた細長い低地適さない。洪水・軟弱地盤
三角州(デルタ)河口部に土砂が堆積した低平地適さない。軟弱地盤で地震時の液状化リスクが高い
干拓地・埋立地干拓は水面を締切って陸化、埋立ては土砂を積んで陸化ともに低平地だが、埋立地のほうが干拓地より安全(干拓地は海面下のことが多く高潮・津波に弱い)
断層・地すべり地形断層は地層がずれた線状の弱点。地すべり地形は過去に地すべりを起こした斜面で、緩やかに見えても滑動の履歴がある適さない。断層の直上は地震時のずれ、地すべり地形は再滑動のおそれがある

等高線も頻出です。間隔が狭いほど急傾斜、広いほど緩傾斜。等高線が高いほうへ食い込んでいる部分が谷、低いほうへ張り出している部分が尾根です。等高線が密な急斜面を盛土で造成した宅地は崩壊しやすくなります。液状化は地下水位が高く、ゆるく堆積した砂質土で起こり、埋立地・三角州・旧河道などが典型です。粘性土の地盤では起こりにくい現象です。

造成地で疑うべきポイント

建物 切土と盛土にまたがる 造成前の地盤 切土部(地山) 盛土部(ゆるい) 沈下 造成地で疑うポイント ・切土と盛土にまたがる敷地 ・谷や沢を埋めた盛土 ・擁壁の水抜き穴の有無 ・崖崩れ・地すべりの跡地 ・盛土の締固めと段切り 切土と盛土にまたがる敷地は不同沈下を起こしやすい
図 23-6 斜面を平らに造成すると、一つの敷地の中に固く締まった地山(切土部)とゆるい盛土部が同居します。この境目に建物がまたがると、盛土側だけが沈む不同沈下が起き、建物が傾きます。

盛土は十分に締め固め、地下水を排除し、傾斜地では原地盤に段切り(階段状の切込み)をして盛土が滑らないようにします。擁壁には水抜き穴が必要です(背面にたまった水の圧力で擁壁が倒れるのを防ぐため)。谷や沢を埋めた盛土(谷埋め盛土)は地震時に滑動しやすく、崖崩れや地すべりの跡地も不安定です。

建物 — 材料の得意・不得意で考える

問50 は建築の専門知識ではなく、材料と構造の常識を問う問題です。建物には押す力(圧縮)と引っぱる力(引張)がかかり、材料ごとに得意な力が違う——この視点で見ると、選択肢の多くは考えて解けます。

構造特徴・長所弱点・注意点
木造(在来軸組工法) 柱と梁で骨組みを作り、筋かい・耐力壁で地震や風の水平力に抵抗する。軽く加工しやすい 耐力壁はバランスよく配置する(偏るとねじれる)。筋かいには原則欠込みをしてはならない。土台は基礎に緊結し、腐朽・シロアリに強い樹種を用いる
木造(枠組壁工法) いわゆるツーバイフォー。面(壁)で支えるため耐震性・気密性に優れる 壁で支える構造ゆえ、大きな開口や間取り変更の自由度が低い
集成材 小さな板材を接着して作る。強度のばらつきが小さく、大断面・湾曲した部材を作れるので大空間にも使える 強度は無垢材と同等以上と考えてよい
鉄骨造(S造) 靱性(粘り強さ)が高く地震のエネルギーを吸収しやすい。自重が軽く、大空間・高層に向く 錆びるので防錆処理が必要。熱に弱く(500℃前後で強度が大きく低下)、不燃材料であっても耐火被覆が必要
鉄筋コンクリート造(RC造) 圧縮に強いコンクリートと引張に強い鉄筋が互いの弱点を補う。耐火性・耐久性・遮音性に優れる 自重が大きい。かぶり厚さ不足・中性化で鉄筋がさびる。水セメント比が大きい(水が多い)ほど強度が下がる
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 鉄骨の周囲に鉄筋を配してコンクリートを打つ。RC造より靱性が高く高層建築に向く 自重は大きく、施工も複雑
荷重 上側=圧縮 → コンクリートが強い 下側=引張 → 鉄筋が強い 鉄筋 かぶり厚さ =鉄筋を覆う厚み コンクリート=アルカリ性で鉄筋のさびを防ぐ。表面から進む中性化が大敵 かぶり厚さ(鉄筋を覆うコンクリートの厚み)の確保が耐久性のカギ 鉄とコンクリートは熱膨張率がほぼ等しいので、一体となって働ける
図 23-7 鉄筋コンクリートの相互補完。梁の上側は押され(圧縮)、下側は引っぱられ(引張)ます。コンクリートは圧縮に強く引張に弱い、鉄筋はその逆——だから両者を組み合わせます。熱膨張率がほぼ等しいことが、温度変化で分離せず一体で働ける理由です。

コンクリートの引張強度は圧縮強度の10分の1程度しかありません。またコンクリートは強いアルカリ性で鉄筋の腐食を防いでいますが、空気中の二酸化炭素で表面から徐々に中性化が進み、これが鉄筋の位置まで達すると鉄筋がさびて膨張し、コンクリートを押し割ります。かぶり厚さの確保が耐久性を左右するのはこのためです。なお、モルタルはセメント・砂・水、コンクリートはこれに砂利(粗骨材)を加えたものです。

基礎と、耐震・制震・免震

基礎は、地盤の良し悪しで選び分けます。直接基礎(浅い基礎)は、底面全体で支えるべた基礎、壁の下に連続して設ける布基礎、柱ごとの独立基礎があります。地盤が軟弱で浅い層では支えきれない場合は杭基礎を用い、硬い支持層まで届かせて先端で支える支持杭と、杭の周面摩擦力で支える摩擦杭に分かれます。異なる種類の基礎を一つの建物で併用しないのが原則です(沈下の仕方が違い、不同沈下の原因になります)。

耐震=耐える 制震=吸収する 免震=切り離す 柱・梁・壁を 強くする 筋かい・耐力壁 地盤に固定 ダンパーで 揺れを吸収 制震装置 地盤に固定 積層ゴムで 地震力を 伝えにくく 免震装置(基礎との間) 地盤の揺れが伝わる向き
図 23-8 地震対策の3方式。耐震は構造体そのものを強くして耐え、制震は建物内部のダンパーで揺れのエネルギーを吸収し、免震は建物と基礎の間に装置を挟んで地震力を伝わりにくくします。既存建築物の耐震改修で最も一般的なのは耐震(耐力壁・ブレースの追加)です。

ひっかけポイント

ここがひっかけ① 機構は「貸す」のか「支える」のか

「機構は、住宅の建設または購入をしようとする者に対し、必要な資金を直接に貸し付けることを主たる業務とする」は×——主たる業務は証券化支援業務で、直接融資は限定列挙された例外だけです。逆に「機構は災害復興建築物の建設資金の貸付けを行う」は○。「フラット35の金利は機構が定める」も×で、決めるのは各民間金融機関です。「賃貸住宅の建設資金に係る債権を買い取る」も×——買取型の対象は自ら(または親族が)居住する住宅の資金に限られます。ただし賃貸住宅でも、子ども・高齢者向けのものは直接融資の対象になる、という交差に注意してください。委託でも同じ構図が問われます。「機構は貸付けの決定を金融機関に委託することができる」は×——委託できるのは債権の回収(金融機関・債権回収会社)や工事の審査(地方公共団体等)であって、貸すかどうかの決定は委託できません。

ここがひっかけ② 表示規約は「切上げ」と「両方満たす」

徒歩所要時間の端数は切上げで、切捨てではありません。「信号待ちの時間を加算する」「直線距離で計算する」も×です。新築は「工事完了後1年未満」と「未使用」の両方が必要で、一方だけでは新築と表示できません。おとり広告は「実在するかどうか」ではなく「取引できるか・取引する意思があるか」で判断します。売約済みの物件を掲載し続けるのは、実在していてもおとり広告です。

ここがひっかけ③ 統計は「方向」と「連続年数」を入れ替えてくる

今年の最有力は「住宅地は5年連続で上昇し、上昇幅も拡大した」→ ×です。5年連続上昇は正しいものの、住宅地の変動率は+2.1%で前年と同じ——拡大していません(上昇幅が拡大したのは全用途平均と商業地)。ほかにも「貸家は増加した」(→ 令和7年計は全カテゴリ減少)、「不動産業の売上高は増加したが経常利益は減少した」(→ 両方増加)、「土地取引件数は増加した」(→ ほぼ横ばい)、「宅建業者数は減少傾向」(→ 11年連続増加)が定番の作り方です。圏域を持ち出す肢にも同じ手が使われます。「名古屋圏も上昇幅が拡大した」→ ×——三大都市圏(+4.6%)のうち上昇幅が拡大したのは東京圏と大阪圏で、名古屋圏は縮小しています。「拡大/縮小」の入れ替えは、用途別(住宅地)と圏域別(名古屋圏)の2か所が狙われると考えてください。

ここがひっかけ④ 土地・建物は「例外」と「逆」を突かれる

低地は原則不適ですが、自然堤防だけは例外的に適する——これを「後背湿地は水はけがよく適する」とすり替えるのが常套手段です。埋立地と干拓地は、埋立地のほうが安全(この大小関係を逆にする肢が頻出)。建物では「木材は含水率が高いほど強度が大きい」→ ×(乾燥しているほど強い)、「鉄骨は不燃材料だから耐火被覆は不要」→ ×(熱で強度が落ちるため必要)、「免震はダンパーで揺れを吸収する構造」→ ×(それは制震。免震は基礎との間で切り離す)が三大定番です。

一問一答で総仕上げ

Q1. 独立行政法人住宅金融支援機構は、住宅の建設または購入に必要な資金を自ら貸し付けることを主たる業務としている。(○か×か)

答え: × 主たる業務は証券化支援業務です。民間金融機関が長期固定金利ローンを供給できるよう支援するのが機構の役割で、直接融資は災害復興建築物やマンション共用部分の改良など、法律に列挙された場合の例外にとどまります。

Q2. 証券化支援事業(買取型)において、機構が買取りの対象とする貸付債権の金利は、機構が一律に定めている。(○か×か)

答え: × 金利を決めるのは貸付けを実行する民間金融機関それぞれです。だから同じフラット35でも取扱金融機関によって金利が異なります。なお、融資率が9割を超える場合は金利が高めに設定されます。

Q3. 機構は、災害により住宅が滅失した場合において、それに代わるべき住宅の建設または購入に必要な資金の貸付けを行うことができる。(○か×か)

答え: ○ 災害復興建築物の建設・購入資金は、直接融資が認められる代表例です。ほかにマンションの共用部分の改良、子ども・高齢者向け賃貸住宅、高齢者向けバリアフリー改良、財形住宅融資などがあります。

Q4. 徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数が生じたときは切り捨てて表示する。(○か×か)

答え: × 端数は切り上げます。道路距離350mなら4.375分となり、表示は「徒歩5分」です。信号待ちや坂道の時間は考慮しません。

Q5. 建築工事完了後8か月しか経過していない住宅であっても、一度でも居住の用に供されたことがあるものは「新築」と表示することができない。(○か×か)

答え: ○ 新築は「工事完了後1年未満」かつ「未使用」の両方を満たす場合の用語です。期間内でも入居歴があれば新築とは表示できません。

Q6. 販売する意思のある物件であっても、既に売約済みで取引の対象となり得ない物件を広告に掲載し続けることは、その物件が実在する以上、おとり広告には当たらない。(○か×か)

答え: × おとり広告は、①存在しない物件、②存在するが取引の対象となり得ない物件、③存在するが取引する意思がない物件のいずれも該当します。売約済み物件の掲載継続は②に当たります。

Q7. 傾斜地を含む土地であって傾斜地の割合が30%未満のものは、傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合であっても、その旨を明示する必要はない。(○か×か)

答え: × 割合がおおむね30%以上のときはその旨と割合または面積を明示しますが、30%未満でも有効利用が著しく阻害される場合はその旨の明示が必要です。「数値だけで判断させる」典型のひっかけです。

Q8. 令和8年地価公示(令和8年1月1日時点)によれば、全国平均で住宅地は5年連続の上昇となり、上昇幅も前年より拡大した。(○か×か)

答え: × 5年連続の上昇は正しいのですが、住宅地の変動率は+2.1%で前年と同じであり、上昇幅は拡大していません。上昇幅が拡大したのは全用途平均(+2.8%)と商業地(+4.3%)です。

Q9. 建築着工統計(令和7年計)によれば、新設住宅着工戸数は約74万戸で3年連続の減少となり、持家・貸家・分譲住宅のいずれも前年より減少した。(○か×か)

答え: ○ 総戸数740,667戸・前年比▲6.5%で3年連続の減少、持家・貸家・分譲住宅のすべてが減少しました。「貸家だけは増加」とする肢が誤りになります。

Q10. 自然堤防の背後に広がる後背湿地は、砂質土からなり水はけがよいため、宅地として積極的に利用すべき地形である。(○か×か)

答え: × 説明が自然堤防と入れ替わっています。砂・礫からなり水はけがよい微高地は自然堤防で、後背湿地は粘性土主体の軟弱地盤・排水不良で宅地には適しません。

Q11. 一般に埋立地は、干拓地に比べて宅地としての安全性が高い。(○か×か)

答え: ○ 埋立地は通常、海面より高く土砂を積んで造成されるのに対し、干拓地は海面下にあることが多く、高潮や津波に対して弱いためです。この大小関係を逆にする肢が頻出です。

Q12. 免震構造とは、建物内部に組み込んだダンパー等の装置によって地震のエネルギーを吸収し、揺れを小さくする構造をいう。(○か×か)

答え: × この説明は制震構造のものです。免震構造は、建物と基礎の間に積層ゴム等の免震装置を設け、地震力を建物に伝えにくくする(切り離す)構造です。

まとめ

これで全23章が終わりです。あとは過去問を回して、本書の表と図に立ち返りながら知識の穴を埋めていく作業になります。宅建業法で確実に積み上げ、法令上の制限と税・その他で取りこぼさず、権利関係は深追いしない——この配分を守れば、2026年10月18日の合格点は十分に射程内です。