宅建士合格教科書|2026年度(令和8年度)
第 21 章|例年 2 問出題(地方税 1 問+国税 1 問)

不動産に関する税金

「誰が・何に・いくら」の 3 点整理で、地方税 1 問+国税 1 問を取る

この章で学ぶこと

例年 2 問出題(地方税 1 問+国税 1 問)。税は範囲が広く見えますが、出題される論点はほぼ固定されています。2 問確保が目標です。

税の基本用語と不動産税制の全体マップ

税の問題を解く前に、共通の用語をそろえておきます。課税主体は税を課す団体(国・都道府県・市町村)、課税客体は何に対して課税するか、課税標準は税額計算の基礎となる金額、納税義務者は税を納める人です。税額は原則として「課税標準 × 税率」で求めます。

徴収方法は 2 種類あります。普通徴収は役所が税額を計算して納税通知書を送り、それを受け取った人が納める方式で、不動産取得税・固定資産税・都市計画税がこれにあたります。これに対し申告納付は納税者が自分で計算して申告・納付する方式で、所得税・贈与税がこれにあたります。

もう一つ混同しやすいのが免税点と非課税の違いです。非課税は「そもそも課税の対象外」、免税点は「課税の対象ではあるが、課税標準がその金額に達しないので課税しない」というものです。免税点は課税標準を基準に判定する点も押さえてください。

取得したとき 持っているとき 売ったとき 不動産取得税(県) 登録免許税(国) 印紙税(国) 贈与税・消費税(国) 固定資産税(市町村) 都市計画税(市町村) 1月1日の所有者に1年度分 毎年くり返し課税される 所得税(国・分離) 住民税(県・市町村) 印紙税(契約書) 譲渡益にだけ課税 時間の流れ
図 21-1 不動産税制の全体マップ。試験で狙われるのは、この 3 段階のうち「取得」と「保有」の地方税 2 つ(青枠)が中心で、ここから 1 問、国税から 1 問という構成が定番です。同じ物件でも段階ごとに課税主体が変わることを最初に頭に入れてください。
2026年法改正

令和8年度税制改正により、この章の数字が 2 か所動きました。① 不動産取得税——新築住宅の課税標準1,200万円控除の床面積要件が「50㎡以上240㎡以下」から「40㎡以上240㎡以下」に緩和され、免税点が「土地10万円/家屋の建築23万円/その他12万円」から「土地16万円/家屋の建築66万円/その他34万円」に引き上げられました。② 固定資産税——新築住宅の税額2分の1減額の床面積要件が「50㎡以上280㎡以下」から「40㎡以上240㎡以下」になりました。

ここで絶対に間違えてはいけないのが、固定資産税の免税点は変わっていないことです。2026年度試験では従来どおり土地30万円未満・家屋20万円未満・償却資産150万円未満が正解です(免税点の見直しは令和9年度からで、基準日である2026年4月1日時点ではまだ効力がありません)。市販の改正解説には令和9年度以降の数字を載せたものがあり、これを今年の数字と誤読させるのが今年最大のひっかけです。「免税点が上がったのは不動産取得税だけ」と覚えてください。

不動産取得税 — 取得したその一度きり、都道府県が課す

不動産取得税は、不動産の所在する都道府県が、不動産を取得した者に対して課す税です(地方税法73条の2)。取得した時に一度だけ課され、徴収方法は普通徴収です。毎年課される固定資産税との一番大きな違いがここにあります。

課税されるのは、売買・交換・贈与・新築・増築・改築による取得です。ポイントは 3 つ。①有償・無償を問わない(タダでもらった贈与でも課税されます)、②登記の有無を問わない(未登記でも取得は取得です)、③現実に所有権を取得すれば足りる。一方、相続(包括遺贈・被相続人から相続人への遺贈を含む)や法人の合併による取得は非課税です。これらは新たに財産を取得したというより、地位がそのまま引き継がれる「形式的な移転」にすぎないからです。国・地方公共団体等が取得する場合も非課税です。

不動産を取得した 課税 非課税 有償・無償を問わず課税 売買・交換 贈与 新築 増築・改築 形式的な移転は非課税 相続 包括遺贈 法人の合併 国・自治体 登記の有無・有償無償を問わず、取得の事実があれば課税される
図 21-2 不動産取得税の課税・非課税の判定。「贈与は課税・相続は非課税」の対比が最頻出です。どちらもタダで手に入る点は同じなのに扱いが分かれるのは、相続が被相続人の地位をそのまま引き継ぐ形式的な移転と評価されるからだと理解しておくと忘れません。

課税標準は固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)です。実際の売買代金ではありません。ここは毎年のように狙われるところで、「取得価額を課税標準とする」という肢はすべて誤りです。なお宅地を取得した場合は、課税標準が価格の 2 分の 1 になります(令和9年3月31日まで)。

税率は標準税率 4 パーセントが本則ですが、土地と住宅の取得については3 パーセントに軽減されています(令和9年3月31日まで)。したがって、店舗や事務所などの住宅以外の家屋は 4 パーセントのままです。同じ 1 件の取引でも、商業ビルの建物部分は 4 パーセント、その敷地は「土地」なので 3 パーセント、と税率が分かれる点は具体例で問われます。

住宅を取得したときの課税標準の控除

一定の要件を満たす新築住宅を取得した場合、課税標準から1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円。令和13年3月31日までに新築されたものが対象)が控除されます。床面積要件は40㎡以上240㎡以下で、下限が令和8年度改正で 50㎡から引き下げられました。この特例は個人・法人を問わず適用されます。

これに対し既存(中古)住宅の場合は、個人が自己の居住用に取得した場合に限り適用され、法人が中古住宅を取得しても使えません。控除額は一律1,200万円ではなく、その住宅が新築された当時に適用されていた控除額です(古い住宅ほど控除額が小さくなります)。細かい金額表まで覚える必要はなく、「中古は個人の居住用のみ・控除額は新築当時の額」で十分です。なお、一定の住宅用土地についても、税額から一定額を減額する制度が別に用意されています。

暗記テク

改正後の免税点は「土地16・建築66・その他34」。「いろ・むむ・さよ(16・66・34)」と 3 つ続けて音で覚えてしまうのが早道です。3 つのうち一番高いのが「家屋を建てたとき(66万円)」、一番安いのが「土地(16万円)」という大小関係も一緒に押さえます。固定資産税側は「30・20・150」で据置き。数字の桁が違うので、混ざったらまず「万円の位が 2 桁か 3 桁か」で切り分けてください。

固定資産税と都市計画税 — 1月1日の所有者が 1 年度分を負担する

固定資産税は、固定資産の所在する市町村が、土地・家屋・償却資産に対して毎年課す税です。徴収方法は不動産取得税と同じ普通徴収で、納期は 4 月・7 月・12 月・2 月中において市町村の条例で定めるのが標準です。

納税義務者は、賦課期日である 1 月 1 日現在において、固定資産課税台帳に所有者として登録されている者です。ここが最頻出で、年の途中で売却しても、その年度分の固定資産税は全額 1 月 1 日の所有者(売主)が納めます。実務では売買時に日割りで精算しますが、それは当事者間の約束にすぎず、市町村に対する納税義務者は変わりません。

例外として、質権が設定されている土地は質権者、存続期間が100年より長い地上権が設定されている土地は地上権者が納税義務者になります。質権は占有が質権者に移り、質権者自身が使用収益するため、その人に負担させるのが公平だからです(占有が移らない抵当権では、抵当権者が納税義務者になることはありません)。また、災害等により所有者が不明な場合には、その使用者を所有者とみなして課税できます。

賦課期日=1月1日 A(売主)が所有 B(買主)が所有 課税される年度(4月1日〜翌年3月31日) 時間 1月1日 4月1日 8月1日に売却 翌年3月31日 (賦課期日) (年度開始) (年度末) この年度の固定資産税は全額Aが納める
図 21-3 賦課期日と納税義務者の関係。固定資産税の 1 年度は 4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までですが、誰が納めるかはその手前の 1 月 1 日という一点だけで決まります。売却した月で按分するのではないので、「B が所有していた期間分は B が納める」という肢は誤りです。

課税標準は不動産取得税と同じく固定資産課税台帳に登録された価格です。土地・家屋の価格は3 年度ごとに評価替えが行われ、基準年度の価格が原則として 3 年間据え置かれます。評価の基準・方法・手続を定めた固定資産評価基準を定めて告示するのは総務大臣です。

住宅用地については課税標準が大幅に圧縮されます。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は価格の 6 分の 1、それを超える一般住宅用地の部分は 3 分の 1 です。ここは講師が「本当によく出る」と名指しする最重要の数字です。税率は標準税率1.4パーセントですが、これはあくまで「通常よるべき税率」であり制限税率ではないため、市町村は条例でこれを超える税率を定めることもできます。

新築住宅については、税額そのものが 2 分の 1 に減額されます。減額期間は原則3 年度分、3 階建て以上の中高層耐火建築物は 5 年度分で、減額の対象は床面積120㎡相当分までです。適用要件の床面積は令和8年度改正で40㎡以上240㎡以下となりました(居住部分が全体の 2 分の 1 以上であることも要件です)。

不動産取得税(都道府県税) 登録価格 (固定資産評価額) 控除 課税標準から 1,200万円控除 税率 ×3% (住宅・土地) = 税額 固定資産税(市町村税) 登録価格 (固定資産評価額) 税率 標準税率 1.4% (制限税率ではない) = 税額 減額 1/2 (3年間) 特例が効く位置が違う。取得税は課税標準、固定資産税は税額
図 21-4 新築住宅の特例が「どこ」に効くかの対比。1,200万円は課税標準から引き算し、2 分の 1 は税額に掛け算します。なお固定資産税にも課税標準側の特例(住宅用地の 6 分の 1・3 分の 1)があり、税額側に効くのは新築住宅の減額だけ、という二段構えを押さえておくと肢の判別が速くなります。

この違いは、一度でも数字を入れて計算してみると忘れなくなります。登録価格1,500万円・床面積100㎡の新築住宅(家屋のみ)を例に、2 つの税を通しで求めてみましょう。

  1. 不動産取得税——先に課税標準を圧縮します。1,500万円 − 1,200万円 = 300万円。住宅なので税率は 3 パーセントですから、300万円 × 3% = 9万円です。
  2. 固定資産税(1 年度分)——課税標準は1,500万円のままです(住宅用地の 6 分の 1 は土地の特例で、家屋には課税標準の特例がありません)。1,500万円 × 1.4% = 21万円といったん税額を出してから、新築住宅の減額を掛けます。床面積100㎡は120㎡以下なので全体が対象となり、21万円 × 1/2 = 10万5,000円。これが原則 3 年度分続きます。

もし順序を取り違えて、固定資産税でも先に1,200万円を引いてしまうと(1,500万円 − 1,200万円)× 1.4% = 4,200円となり、正解の 25 分の 1 になってしまいます。1,200万円は税率を掛ける前、2 分の 1 は税率を掛けた後——この順序だけは体で覚えてください。

課税台帳の閲覧・縦覧と、価格への不服

台帳を見る制度は 2 つあり、これがそのまま対比問題になります。閲覧は「自分の資産の評価額を確認する」制度、縦覧は「自分の評価額が近隣と比べて妥当かを確かめる」制度で、目的が違うため見られる人も時期も異なります。

比較項目固定資産課税台帳の閲覧縦覧帳簿の縦覧
見られる帳簿固定資産課税台帳土地価格等縦覧帳簿・家屋価格等縦覧帳簿
できる人納税義務者(相続人を含む)・借地人・借家人等その市町村の納税者
見られる範囲自己の権利の目的である資産のみ他人の土地・家屋の価格も比較できる
時期いつでも期間限定(4月1日から、4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日まで)

登録価格に不服がある場合は、文書をもって固定資産評価審査委員会に審査の申出をします。市町村長に対する審査請求ではない点に注意してください。

都市計画税

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるために課される目的税で、原則として市街化区域内の土地・家屋が対象です。制限税率0.3パーセントで、これを超える税率は定められません(固定資産税との違い)。住宅用地の課税標準特例は、小規模住宅用地が 3 分の 1、一般住宅用地が 3 分の 2 と、固定資産税より緩やかです。賦課徴収は固定資産税と併せて行われます。

項目不動産取得税固定資産税都市計画税
課税主体都道府県市町村市町村
課税のタイミング取得したとき 1 回毎年(賦課期日1月1日)毎年(同左)
納税義務者取得者1月1日の台帳登録所有者同左
徴収方法普通徴収普通徴収普通徴収
課税標準登録価格(宅地は1/2)登録価格(3年ごと評価替え)登録価格
税率標準4%(土地・住宅は3%)標準1.4%(制限なし)制限0.3%
免税点土地16/建築66/その他34万円土地30/家屋20/償却資産150万円固定資産税に準じる
住宅用地の特例(土地の税額減額制度あり)200㎡以下1/6・超1/3200㎡以下1/3・超2/3
新築住宅の特例課税標準から1,200万円控除税額を1/2(3年・中高層耐火5年)—
住宅の面積要件40㎡以上240㎡以下40㎡以上240㎡以下—

譲渡所得 — 長期・短期の判定と居住用財産の 3 特例

個人が土地・建物を売って利益が出た場合、その譲渡所得は他の所得と合算せず分離課税で計算します。式は譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除です。取得費が不明なときは譲渡価額の 5 パーセントを取得費とみなすことができます。

税率は所有期間で二分されます。判定は譲渡した年の 1 月 1 日時点の所有期間で行い、実際に売った日で数えるのではありません。ここが最大のひっかけどころで、年をまたいだ事例では必ず判定日に引き直して数えてください。

区分判定(譲渡した年の1月1日時点)所得税住民税
短期譲渡所得所有期間 5年以下30%9%
長期譲渡所得所有期間 5年超15%5%
居住用財産の軽減税率所有期間 10年超(6,000万円以下の部分)10%4%
優良住宅地の造成等所有期間 5年超(2,000万円以下の部分)10%4%
実際の所有期間 5年3か月 判定に使う期間 4年10か月 時間 2021年3月1日に取得 2026年1月1日 =判定日 2026年6月1日に譲渡 1月1日時点で5年以下 → 短期譲渡(税率39%)
図 21-5 長期・短期の判定は「譲渡した年の 1 月 1 日」で切ります。この例では実際には 5 年 3 か月保有していますが、判定日である 2026 年 1 月 1 日時点では 4 年 10 か月しか経っていないため短期扱いになります。年初から数え直す感覚を身につけてください。

マイホーム(居住用財産)を売った場合には、3 つの大きな特例があります。

①居住用財産の3,000万円特別控除——譲渡益から最大3,000万円を控除できます。所有期間の要件はありません(買った翌年に売っても使えます)。ただし、配偶者・直系血族・生計を一にする親族などへの譲渡には使えず、また前年・前々年にこの特例等を受けている場合も使えません(実質的に 3 年に 1 度)。

②10年超所有の軽減税率——譲渡した年の 1 月 1 日時点で所有期間が10年を超える居住用財産について、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分の税率が所得税10パーセント(+住民税4パーセント)に下がります。6,000万円を超える部分は通常の長期税率です。この特例は①の3,000万円控除と併用できます——ここが最頻出です。

③特定居住用財産の買換え特例——所有期間10年超・居住期間10年以上、譲渡対価 1 億円以下などの要件のもとで、譲渡益への課税を買換え先を売るときまで繰り延べる特例です。こちらは①②とは選択適用で、併用できません。なお令和8年 1 月 1 日以後の譲渡については、買換資産が災害危険区域等内にないことが要件に加わりました。

譲渡価額 −(取得費+譲渡費用) = 譲渡益 居住用財産なら − 3,000万円特別控除 = 課税譲渡所得 所有期間で分岐 所有期間10年超 6,000万円以下は14% 超える部分は20% 所有期間5年超10年以下 20%(長期) 所有期間5年以下 39%(短期) 10年超なら3,000万円控除と軽減税率を併用できます
図 21-6 居住用財産を売ったときの計算フロー。税率のパーセンテージは所得税と住民税の合計で示しています(長期20%=所得税15%+住民税5%、短期39%=所得税30%+住民税9%、軽減税率14%=所得税10%+住民税4%)。

3 つの特例の関係は、「どれとどれが一緒に使えるか」と「それぞれ何年必要か」の 2 枚に分けて覚えると混ざりません。まず併用可否です。

組合せ3,000万円特別控除10年超の軽減税率買換え特例
3,000万円特別控除—○ 併用可× 選択適用
10年超の軽減税率○ 併用可—× 選択適用
買換え特例× 選択適用× 選択適用—

次に期間の要件です。3,000万円控除だけが所有期間を問わないこと、買換え特例だけが居住期間まで求めることが対比の軸になります。

特例所有期間居住期間その他の主な要件
3,000万円特別控除不問不問配偶者・直系血族等への譲渡は不可/前年・前々年に適用を受けていないこと
10年超の軽減税率10年超不問6,000万円以下の部分が所得税10%(超える部分は通常の長期)
特定居住用財産の買換え特例10年超10年以上譲渡対価 1 億円以下/買換資産が災害危険区域等内にないこと

このほか、収用等により譲渡した場合の5,000万円特別控除、相続した空き家(被相続人居住用家屋)を一定期間内に譲渡した場合の3,000万円特別控除(昭和56年5月31日以前に建築・相続開始直前に被相続人が一人で居住・耐震改修または取壊しをして譲渡・譲渡対価 1 億円以下・相続開始から 3 年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡)、優良住宅地の造成等のために譲渡した場合の軽減税率(2,000万円以下の部分について所得税10パーセント)があります。また、居住用財産を売って損失が出た場合には、一定の要件のもとで他の所得との損益通算と、翌年以後 3 年間の繰越控除が認められます。

登録免許税と印紙税

登録免許税は、登記・登録を受けることに対して国が課す税で、納税義務者は登記を受ける者です。売買による所有権移転登記のように売主と買主が共同で申請する場合は、両者が連帯して納付する義務を負います。課税標準は不動産の価額=固定資産課税台帳の登録価格で、抵当権の設定登記だけは債権金額が課税標準になります。納付は現金納付が原則で、税額が 3 万円以下の場合は印紙で納めることもできます。

登記の種類本則の税率住宅用家屋の軽減税率
所有権の保存登記0.4%0.15%
売買による所有権の移転登記2%(土地は1.5%)0.3%
相続による所有権の移転登記0.4%適用なし
抵当権の設定登記0.4%(債権金額)0.1%

住宅用家屋の軽減税率(令和9年3月31日まで)は、個人が自己の居住用に取得した家屋で、床面積50㎡以上、新築または取得後 1 年以内に登記を受けるものが対象です。かつての築年数要件は撤廃され、新耐震基準に適合していることが要件となっています。注意点が 3 つあり、①土地には適用されない(家屋だけです)、②移転登記の軽減は売買または競落による取得に限られる(贈与・交換・相続では使えません)、③自己の居住用に限られる(法人や賃貸用は不可)。

表にある「土地は1.5%」は、この住宅用家屋の軽減とはまったく別枠の措置です。土地の売買による所有権移転登記の税率は、本則 2 パーセントのところ令和11年3月31日まで1.5パーセントに軽減されています。家屋の軽減が「個人が自己の居住用に取得した場合だけ」なのに対し、こちらは取得者や用途を問わないという違いがあります。「家屋の軽減は土地に及ばない」は正しい肢ですが、それは住宅用家屋の軽減税率が土地に及ばないという意味であって、土地に一切の軽減がないという意味ではありません。

印紙税は、契約書や領収書といった課税文書の作成者に課される国税です。2 人以上が共同で作成した文書は連帯納税義務となり、契約当事者双方が原本を 1 通ずつ保存する場合は2 通とも課税されます。納付は収入印紙を貼り付けて消印する方法によります。消印は印章のほか署名でもよく、契約当事者の一方が行えば足り、代理人や使用人が行うこともできます。

非課税の枠も押さえておきます。受取書(領収書)は記載金額5万円未満のものが非課税ですが、それに加えて営業に関しないもの——たとえば個人が自宅を売却して受け取った代金の領収書——も、金額にかかわらず非課税です。次の図 21-7 で受取書に付いている「営業上」という限定はここから来ています。事業としてではなく私人として受け取る領収書には印紙が要らない、と理解してください。

作成した文書 課税 不課税 課税文書(印紙が必要) 不動産の譲渡に関する契約書 地上権・土地賃借権の設定 請負に関する契約書 受取書(5万円以上・営業上) 印紙は不要(不課税等) 建物の賃貸借契約書 抵当権の設定契約書 委任状・媒介契約書 電子契約(電磁的記録) 土地の賃借権は課税・建物の賃貸借は不課税——最頻出の対比
図 21-7 印紙税の課税文書の判定。土地に関する権利の設定・譲渡は課税、建物の賃貸借は不課税という切り分けが繰り返し問われます。電子契約書は紙の「文書」を作成していないため課税されない、という点も近年の頻出論点です。

税額は記載金額で決まるため、「その契約書の記載金額はいくらか」を確定させる作業が問題そのものになります。よく出るパターンは次のとおりです。

文書記載金額の扱い結論
交換契約書(双方の価額を記載)高いほうの価額合計額ではない
交換契約書(交換差金のみ記載)その差金—
贈与契約書対価がないため記載金額なし一律200円
変更契約書(増額)増加額のみ変更後の総額ではない
変更契約書(減額)記載金額なしとして扱う一律200円
土地の賃貸借契約書返還されない権利金・礼金賃料は含まない

なお、不動産の譲渡に関する契約書(記載金額10万円を超えるもの)と建設工事の請負に関する契約書(記載金額100万円を超えるもの)については、令和9年3月31日までに作成されるものの税率を軽減する措置が設けられています。宅建試験で軽減後の税額表そのものを問われることはまずありませんが、「軽減があるのはこの 2 種類」という枠組みだけ押さえておいてください。

印紙を貼らなかった場合の過怠税は、本来の印紙税額とその 2 倍に相当する額の合計=3 倍です(調査を受ける前に自主的に申し出れば1.1倍に軽減されます)。一方、貼ったが消印しなかった場合の過怠税は、消印されていない印紙の額面金額と同額です。3 倍ではありません。なお、国や地方公共団体と私人が共同で作成した文書は、国等が保存するものを私人が作成した課税文書とみなし、私人が保存するものは国等が作成した非課税文書とみなします。つまり手元にある側は非課税という、直感と逆の結論になります。

贈与税 — 住宅取得を後押しする 3 つの特例

贈与税は、個人から財産をもらった個人に課される国税で、原則は暦年課税(1 月 1 日から12月31日までの 1 年間の贈与額から基礎控除110万円を差し引いて課税)です。宅建試験で問われるのは、これに代わる・上乗せする 3 つの特例です。

①相続時精算課税——60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、特別控除2,500万円(累積)まで贈与税をかけず、超えた部分に一律20パーセントを課し、相続のときに精算する制度です。現在は特別控除とは別に年110万円の基礎控除が使え、この範囲なら申告も不要で相続財産にも加算されません。住宅取得等資金の贈与の場合には、贈与者の年齢要件(60歳以上)が不問になる特例が用意されています。

②住宅取得等資金の贈与の非課税特例——直系尊属から18歳以上の子・孫が住宅の取得資金の贈与を受けた場合、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで贈与税が非課税になります(令和8年12月31日までの贈与)。受贈者の合計所得金額が2,000万円以下であることなどが要件で、暦年課税の110万円や相続時精算課税と併せて使えます。

③贈与税の配偶者控除——婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合、2,000万円まで控除できます(基礎控除110万円と合わせて2,110万円)。同一の配偶者からは一生に一度だけです。

適用期限のある特例の総点検

この章で扱った特例の多くは期限つきで、数年ごとに延長されています。2026年度試験の基準日である2026年4月1日時点では、下表の特例はすべて有効です。期限そのものを正面から問う出題は考えにくいのですが、肢の中に「令和◯年◯月◯日まで」と書き込まれたときに動揺しないよう、一度は目を通しておいてください。

特例内容(覚える数字)適用期限
不動産取得税:宅地の課税標準価格の1/2令和9年3月31日まで
不動産取得税:税率の特例土地・住宅は4%→3%令和9年3月31日まで
不動産取得税:認定長期優良住宅控除額1,200万円→1,300万円令和13年3月31日までの新築
登録免許税:土地の売買移転登記2%→1.5%令和11年3月31日まで
登録免許税:住宅用家屋の軽減保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%令和9年3月31日まで
印紙税:不動産譲渡・建設工事請負10万円超・100万円超の契約書の税率軽減令和9年3月31日まで
贈与税:住宅取得等資金の非課税省エネ等1,000万円/その他500万円令和8年12月31日までの贈与

期限が「令和9年3月31日」に集中しているなか、登録免許税の土地(令和11年)と認定長期優良住宅(令和13年)だけが先まで延び、住宅取得等資金の贈与だけが令和8年12月31日と手前で切れます。この 3 つが例外だと押さえれば、残りは「令和9年3月まで」でひとまとめにできます。

ひっかけポイント

ここがひっかけ ① 2 つの地方税で数字を入れ替える

「宅地を取得した場合の不動産取得税の課税標準は、価格の 6 分の 1 とされる」——誤りです。正しくは2 分の 1で、6 分の 1 は固定資産税の小規模住宅用地の数字です。この種の肢は、正しい制度の中に別の税の数字を差し込んで作られます。1/2 は不動産取得税の宅地、1/6・1/3 は固定資産税の住宅用地、1/3・2/3 は都市計画税の住宅用地と、分数を税ごとに紐づけて覚えてください。

ここがひっかけ ② 改正されたのはどちらの免税点か

「令和8年度から固定資産税の免税点も引き上げられ、土地は50万円未満となった」——誤りです。2026年度試験の基準日時点で免税点が引き上げられたのは不動産取得税だけ(16/66/34万円)で、固定資産税は土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円のまま据え置かれています。逆に床面積要件は両方とも40㎡以上240㎡以下に揃ったので、「面積は揃った・免税点は片方だけ」と非対称に覚えるのが安全です。

もう一段の注意として、40㎡に下がったのは地方税 2 つ(不動産取得税・固定資産税)だけです。登録免許税の住宅用家屋の軽減税率の床面積要件は50㎡以上のままで、今年は動いていません。改正年は「ほかの税も一緒に変わったはず」と思い込ませる肢が作られやすいので、40㎡は地方税 2 つ・50㎡は登録免許税と、税の名前とセットで覚えてください。

ここがひっかけ ③ 標準税率と制限税率

「固定資産税の税率は1.4パーセントを超えることができない」——誤りです。1.4パーセントは標準税率=通常よるべき税率にすぎず、市町村は条例でこれを超える税率を定められます。これに対し都市計画税の0.3パーセントは制限税率なので超えられません。「固定資産税は上限なし/都市計画税は上限あり」の対比で押さえます。

ここがひっかけ ④ 軽減税率・特例の適用範囲を広げる

「登録免許税の住宅用家屋の軽減税率は、住宅の敷地である土地の移転登記にも適用される」——誤りです。家屋にしか適用されません。同じ発想で、「移転登記の軽減は贈与による取得でも使える」(誤り。売買または競落に限る)、「居住用財産の3,000万円特別控除は所有期間10年超が要件」(誤り。所有期間は不問)、「不動産取得税の中古住宅の控除は法人にも適用される」(誤り。個人の自己居住用のみ)といった「適用範囲をこっそり広げる」肢が定番です。

一問一答で総仕上げ

Q1. 相続により不動産を取得した場合であっても、取得者には不動産取得税が課される。(○か×か)

答え: × 相続(包括遺贈および被相続人から相続人への遺贈を含む)や法人の合併による取得は、形式的な所有権の移転として非課税です。一方、贈与による取得は無償であっても課税されます。「タダでもらう」点が同じでも扱いが分かれるのがポイントです。

Q2. 2026年4月1日以後に取得する新築住宅について、不動産取得税の課税標準から1,200万円を控除する特例の床面積要件は、40㎡以上240㎡以下である。(○か×か)

答え: ○ 令和8年度税制改正で下限が50㎡から40㎡に引き下げられました。上限240㎡と控除額1,200万円は変わっていません。旧数値「50㎡以上240㎡以下」を正解に見せる肢に注意してください。

Q3. 不動産取得税の免税点は、土地の取得については10万円、家屋の建築による取得については23万円である。(○か×か)

答え: × いずれも改正前の数値です。2026年4月1日以後は土地16万円未満・家屋の建築66万円未満・家屋のその他の取得34万円未満となりました。免税点は課税標準となるべき額で判定します。

Q4. 固定資産税の免税点は、土地については30万円、家屋については20万円である。(○か×か)

答え: ○ 固定資産税の免税点は変更されていません(償却資産は150万円)。免税点が引き上げられたのは不動産取得税だけです。改正解説の一覧表で将来の数値を今年の数値と読み違えないようにしてください。

Q5. 宅地を取得した場合、その不動産取得税の課税標準は、当該宅地の価格の 6 分の 1 の額とされる。(○か×か)

答え: × 正しくは2 分の 1です(令和9年3月31日まで)。6 分の 1 は固定資産税の小規模住宅用地(200㎡以下の部分)の課税標準の特例で使う数字であり、税をまたいだ数字の差し替えは最も典型的な誤答パターンです。

Q6. 年度の途中で土地を売却した場合、売却後の期間に対応する固定資産税は買主が納税義務を負う。(○か×か)

答え: × 納税義務者は賦課期日である 1 月 1 日現在の登録所有者であり、その年度分は全額が売主の負担です。売買契約で日割り精算をしても、それは当事者間の取決めにすぎず、市町村に対する納税義務者は変わりません。

Q7. 固定資産税の税率は1.4パーセントとされており、市町村がこれを超える税率を定めることはできない。(○か×か)

答え: × 1.4パーセントは標準税率であって制限税率ではないため、市町村は条例でこれを超える税率を定めることができます。制限税率が定められているのは都市計画税(0.3パーセント)のほうです。

Q8. 住宅用地のうち200㎡以下の部分(小規模住宅用地)に対する固定資産税の課税標準は、価格の 6 分の 1 の額とされる。(○か×か)

答え: ○ 200㎡を超える一般住宅用地の部分は3 分の 1です。なお同じ住宅用地でも都市計画税では 3 分の 1・3 分の 2 となり、圧縮の度合いが緩やかになります。

Q9. 土地価格等縦覧帳簿は、固定資産税の納税者であればいつでも縦覧することができる。(○か×か)

答え: × 縦覧は毎年 4 月 1 日からの一定期間に限られます(4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日まで)。「いつでも」できるのは固定資産課税台帳の閲覧のほうで、こちらは納税義務者・借地人・借家人が自己の権利の目的である資産について行えます。

Q10. 譲渡所得の長期・短期の区分は、土地建物を譲渡した日において所有期間が 5 年を超えるかどうかで判定する。(○か×か)

答え: × 判定の基準日は譲渡した年の 1 月 1 日です。たとえば2021年3月に取得して2026年6月に譲渡すると、実際には 5 年 3 か月保有していても判定日の2026年1月1日時点では 4 年10か月なので短期譲渡所得になります。

Q11. 居住用財産の3,000万円特別控除の適用を受けるためには、譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を超えていなければならない。(○か×か)

答え: × 3,000万円特別控除に所有期間の要件はありません。10年超が要件なのは軽減税率の特例(6,000万円以下の部分が所得税10パーセント)のほうで、この 2 つは併用できます。ただし配偶者や直系血族への譲渡には控除は使えません。

Q12. 建物の賃貸借契約書は、印紙税の課税文書として印紙の貼付けを要する。(○か×か)

答え: × 建物の賃貸借契約書は課税文書ではありません。課税されるのは土地の賃借権・地上権の設定または譲渡に関する契約書です。抵当権設定契約書や委任状も課税されず、電子契約による電磁的記録も課税文書には当たりません。

まとめ

この章の数字を一枚に集約します。試験直前はこの表だけ見返せば足ります。

論点覚える数字混同しやすい相手
不動産取得税の免税点土地16/建築66/その他34万円固定資産税は30/20/150万円で据置き
不動産取得税の税率標準4%・土地と住宅は3%固定資産税1.4%(標準)・都市計画税0.3%(制限)
宅地の課税標準価格の1/2固定資産税の住宅用地1/6・1/3
新築住宅の特例取得税は課税標準−1,200万円/固定資産税は税額×1/2控除の「位置」が逆の肢
住宅の床面積要件40㎡以上240㎡以下(不動産取得税・固定資産税とも)旧要件50㎡以上240㎡(280㎡)以下/登録免許税は50㎡以上のまま
固定資産税の減額期間3年度分(中高層耐火は5年度分)・120㎡まで評価替えの3年度ごとと混同しない
賦課期日1月1日の登録所有者が1年度分売却しても按分しない
譲渡所得の判定譲渡した年の1月1日で5年超=長期20%/5年以下=短期39%譲渡日で数える誤り
居住用財産の特例3,000万円控除(期間不問)+10年超の軽減税率14%は併用可買換え特例とは選択適用
登録免許税の住宅用家屋の軽減保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%(家屋・50㎡以上・1年以内)この軽減は土地に適用なし(土地は別枠で1.5%)/贈与では使えない
印紙税の過怠税不納付は3倍(自主申告1.1倍)・消印漏れは額面と同額消印漏れも3倍とする誤り
贈与税の特例精算課税2,500万円+年110万円/住宅資金1,000・500万円/配偶者控除2,000万円贈与者の年齢要件(60歳以上)があるのは精算課税だけ。住宅資金は直系尊属なら年齢不問、配偶者控除は婚姻20年以上
特例の適用期限多くは令和9年3月31日まで土地の登録免許税1.5%は令和11年3月/認定長期優良住宅は令和13年3月/住宅取得等資金の贈与は令和8年12月

税は「誰が・何に・いくら」の 3 点をセットで押さえれば、2 問中 2 問を安定して取れる得点源になります。次章では、地価公示法・不動産鑑定評価基準といった価格の評価のルールを学びます。本章で扱った「固定資産課税台帳の登録価格」がどのように決まるのか、その土台にあたる分野です。