- 国土利用計画法の4層構造(規制区域・監視区域・注視区域・それ以外)と、主役である事後届出制
- 事後届出の3点セット: 届け出るのは権利取得者だけ・契約締結日から2週間以内・市町村長を経由して知事へ
- 届出が必要な面積「2・5・10」と、対価の有無による対象契約の切り分け
- 審査されるのは利用目的だけ。勧告に従わなくても契約は有効で罰則もない(無届は罰則あり)
- 農地法3条・4条・5条の許可権者と、市街化区域内の特例が使えるのはどれか
例年 2 問出題(国土利用計画法 1 問+農地法 1 問)。どちらも出題パターンがほぼ固定された分野で、法令上の制限の中で最も費用対効果が高いテーマです。2 問確保が目標です。
国土利用計画法の全体像 — 目的は「地価の高騰を抑えること」
国土利用計画法(以下「国土法」)は、1970年代の地価暴騰を受けて作られた法律です。目的は一言でいえば地価の高騰と、投機目的の土地取引を抑えること。この趣旨さえ握っておけば、初見の肢でもかなり判断できます。たとえば「値上がりしない取引は規制する必要がない」と考えれば、贈与や相続が届出の対象外であることも自然に理解できます。
国土法の規制は、その土地の地価がどれだけ危険な状態かによって4段階に分かれています。地価が最も危険な区域ほど強い規制(許可制)がかかり、何も問題のない大部分の地域には最も弱い規制(事後届出制)だけがかかる、という構造です。
農地法にはこの試験年度に向けた制度改正はありません。国土法については、事後届出書の記載事項に、土地の取得者が法人である場合の代表者等の国籍等に関する事項が加えられました。なお、権利取得者本人の国籍等は個人・法人を問わず改正前から届出事項で、今回加わったのは法人の代表者等の分だけです。届出事項の細部にとどまるため出題可能性は高くありませんが、届出事項の列挙肢に紛れ込む可能性はあります。また、刑法改正(2025年6月施行)により懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されたため、無届の罰則は「6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」、農地法違反の罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」という新しい文言で出題されます。
事後届出制 — 誰が・いつ・どこへ
市街化区域などの一定面積以上の土地について土地売買等の契約を締結した場合、権利取得者は、契約を締結した日から起算して2週間以内に、土地が所在する市町村の長を経由して都道府県知事に届け出なければなりません(国土利用計画法23条)。この「誰が・いつ・どこへ」の3点は、そのまま毎年出題されます。
最重要なのは届出義務者が権利取得者(買主)だけという点です。国土法が見張りたいのは「取得した土地をこれからどう使うつもりか」なので、土地を手放す売主に義務を課す意味がありません。したがって「売主および買主は届け出なければならない」という肢は、それだけで誤りと判定できます。
届出が必要な面積 — 「2・5・10」
すべての土地取引を届出対象にすると窓口がパンクしてしまうため、一定面積以上の取引だけが対象になります。面積は、市街地に近いほど小さく(=規制が厳しく)設定されています。
上から順に「2・5・5・10・10」。「にご・ごとお」とリズムで唱えます。開発許可の「1・なし・3・3・10」と混ざりやすいのですが、国土法は「買う話」なので数字が大雑把、開発許可は「土地を造る話」なので数字が細かいと区別すると取り違えません。国土法には「市街化調整区域は例外なし」のような特殊ルールもありません。
一団の土地 — 事後届出は「買いの一団」で判定する
面積要件は、1筆ごとではなく一団の土地単位で判定します。一団の土地とは、①土地が物理的に接続しており、②一連の計画のもとに一体として利用される土地のことです。ここで決定的に重要なのは、事後届出では権利取得者を基準に判定するという点です。届出義務者が買主だけなのですから、判定も買主側から見るのが当然、と考えれば覚えられます。
届出が必要な契約 — 判定のカギは「対価」
届出の対象は「土地売買等の契約」です。定義は少し長いのですが、次の4つの要素をすべて満たすものと整理できます。
- 土地に関する権利(所有権・地上権・賃借権)についてであること
- その権利の移転または設定であること
- 対価を得て行われること(有償であること)
- 契約(予約を含む)であること
地価対策という趣旨から考えると、③の「対価」が判定の中心になります。ただでもらう土地は地価を動かさないからです。したがって、贈与・相続・遺産分割・法人の合併・時効取得は、いずれも対価がないので届出不要です。また、抵当権の設定は土地を使う権利を取得するものではない(担保にとるだけ)ので、そもそも①に当たらず届出不要です。
| 取引の類型 | 対価の有無・権利の性質 | 事後届出 |
|---|---|---|
| 売買・売買の予約 | 対価あり・所有権の移転 | 必要 |
| 交換 | 対価あり(相手の土地が対価) | 必要(双方が権利取得者) |
| 権利金の授受がある地上権・賃借権の設定 | 権利金=設定の対価 | 必要 |
| 賃料だけを支払う賃借権の設定 | 賃料は使用の対価であって設定の対価ではない | 不要 |
| 停止条件付きの売買契約 | 契約は締結済み(条件成就は関係なし) | 必要(契約締結日から2週間以内) |
| 予約完結権の行使・買戻権の行使 | 契約ではなく単独行為(予約時に届出済み) | 不要 |
| 贈与・負担のない遺贈 | 対価なし | 不要 |
| 相続・遺産分割・法人の合併・時効取得 | 契約ではない/対価なし | 不要 |
| 抵当権・質権の設定 | 土地を使う権利の移転設定ではない | 不要 |
| 地役権・使用貸借の設定 | 対象となる権利に含まれない/無償 | 不要 |
さらに、契約自体は上の要件を満たしていても、次の場合は届出が不要になります。相手が公的主体であれば投機のおそれがなく、農地を農地のまま取得する場合は別の法律(農地法)が用途をきちんと見張ってくれるからです。
- 当事者の一方または双方が国・地方公共団体等である場合(都市再生機構や地方住宅供給公社なども含みます)
- 民事調停法による調停に基づく場合
- 農地法3条1項の許可を受けることを要する場合(=農地を農地のまま取得する取引)
届出不要になるのは3条許可の場合だけです。転用目的の権利移動である5条許可の場合は、農地が宅地などに変わって値上がりが起きるため、面積要件を満たせば国土法の事後届出も必要です。「農地法の許可を受けたから国土法の届出は不要」と一般化した肢は誤りになります。
届出の後 — 審査されるのは利用目的だけ
届出事項は、当事者の氏名・住所、土地の所在と面積、権利の種別と内容、契約締結年月日、対価の額、そして土地の利用目的などです。ここで最頻出の論点が登場します。対価の額は「届け出る」項目ではあっても、「審査・勧告される」項目ではありません。事後届出はすでに契約が終わった後の手続なので、いまさら価格に口を出しても意味がなく、知事が見るのは「その土地を今後どう使うか」だけなのです。
知事は、届出に係る土地の利用目的が土地利用に関する計画に適合しないと認めるときは、届出があった日から起算して3週間以内に、利用目的について必要な変更をすべきことを勧告できます(合理的な理由があるときは、3週間の範囲内で期間を延長できます)。勧告を受けた者がこれに従わないときは、知事はその旨と勧告の内容を公表することができます。「公表しなければならない」ではありません。
もうひとつの頻出論点が、制裁の非対称性です。勧告に従わなくても、罰則はなく、契約も有効なままです。ところが届出そのものを怠った場合には罰則があります(6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)。ただしこの場合も契約は有効で、無効になることはありません。「無届だから契約は無効」は誤りです。なお、知事は届出をした者に対し、利用目的について助言をすることもできますが、助言に従わなくても公表すらされません。
| 場面 | 制裁 | 契約の効力 |
|---|---|---|
| 勧告に従わない | 公表されることがある(罰則なし) | 有効 |
| 助言に従わない | 何もなし(公表もされない) | 有効 |
| 届出をしなかった/虚偽の届出 | 罰則あり(6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金) | 有効 |
| 規制区域内で無許可の契約 | 罰則あり | 無効 |
注視区域・監視区域・規制区域 — 事前届出制と許可制
地価が危険な状態にある区域では、契約を締結する前にチェックする仕組みに切り替わります。注視区域は地価が相当な程度を超えて上昇するおそれのある区域、監視区域はさらに地価が急激に上昇するおそれがあり適正な土地利用の確保が困難となるおそれのある区域で、いずれも都道府県知事が5年以内の期間を定めて指定します。
事前届出制では、事後届出制と次の点が正反対になります。届出義務者は当事者双方(権利取得者と譲渡人の両方)、届出は契約締結前、そして届出後6週間を経過するまでは契約を締結できません(この間に知事から勧告または勧告しない旨の通知があれば、その時点で締結できます)。また、契約前なのですから予定対価の額も審査・勧告の対象になります。ここが事後届出との最大の違いです。
| 比較項目 | 事後届出(それ以外の区域) | 事前届出(注視区域・監視区域) |
|---|---|---|
| 届出の時期 | 契約締結後2週間以内 | 契約締結前(あらかじめ) |
| 届出義務者 | 権利取得者のみ | 当事者双方 |
| 面積要件 | 2,000/5,000/10,000㎡ | 注視区域は左と同じ/監視区域は都道府県の規則で引下げ |
| 一団の判定 | 権利取得者基準(買いの一団) | 双方が義務者なので売り・買いの両方で判定 |
| 審査の対象 | 利用目的のみ | 利用目的+予定対価の額 |
| 勧告の期限 | 届出から3週間以内 | 届出から6週間以内 |
| 契約締結の制限 | なし(すでに契約済み) | 届出から6週間は締結不可 |
最も強い規制が規制区域です。投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われるおそれがあり地価が急激に上昇するおそれのある区域について知事が指定し、区域内では面積を問わずすべての土地売買等の契約に知事の許可が必要になります。許可を受けないでした契約は無効です。届出制では契約が有効なままなのと対照的で、ここが唯一「契約が無効になる」パターンです。もっとも、規制区域はこれまで一度も指定された実績がありません。
農地法 — 目的は「農地を守ること」と、農地の判定
ここからは農地法です。趣旨は農地を守ること。農地は一度潰して宅地にしてしまうと二度と元に戻らないため、農地が失われる場面と、農地を耕す人が変わる場面に許可を要求するのが農地法の骨格です。
まず「農地とは何か」から。農地とは耕作の目的に供される土地をいい、その判定は現況(実際の状態)によります。登記簿上の地目が山林や雑種地であっても、現に耕作されていれば農地です。逆に、登記地目が「田」でも現況が駐車場なら農地ではありません。また、一時的に休耕している土地も農地です。この現況主義は毎年のように問われます。
もうひとつ、採草放牧地という概念があります。農地以外の土地で、主として耕作や養畜の事業のための採草・家畜の放牧の目的に供されるものです。採草放牧地は3条と5条の対象になりますが、4条(転用)は農地専用で採草放牧地には適用されません。牧草地を潰すことは農地を潰すほどの打撃ではない、と考えると納得できます。
3条・4条・5条 — 「人が変わるか」×「使い方が変わるか」
農地法で覚えるべき条文は3つだけです。3条=権利移動(耕す人が変わる)、4条=転用(使い方が変わる)、5条=転用目的の権利移動(両方変わる)。2つの軸で整理すると、どの条文かは機械的に判定できます。
| 条文 | 対象となる行為 | 許可権者 | 市街化区域の特例 | 無許可の効力 |
|---|---|---|---|---|
| 3条 | 農地・採草放牧地の権利移動(所有権移転、地上権・永小作権・質権・賃借権・使用貸借による権利の設定移転) | 農業委員会 | なし(市街化区域内でも許可が必要) | 契約は無効 |
| 4条 | 農地を農地以外のものにする(転用)。採草放牧地は対象外 | 都道府県知事等 (指定市町村ではその長) | あり(あらかじめ農業委員会へ届出) | 権利移動を伴わないため効力の問題は生じない。原状回復命令等の対象 |
| 5条 | 転用目的の権利移動(農地を農地以外にするため/採草放牧地を農地以外にするため権利を移転設定) | 都道府県知事等 (指定市町村ではその長) | あり(あらかじめ農業委員会へ届出) | 契約は無効+原状回復命令等 |
ここで見落としやすいのが、一時的な転用でも許可が必要だという点です。砂利採取のために農地を借りて掘り、採取が終わったら埋め戻して農地に戻す場合や、工事期間だけ資材置場として借りる場合も、その間は農地が農地でなくなる以上、4条(権利移動を伴えば5条)の許可を受けなければなりません。農地法は一時的な利用を許可の対象から外しているのではなく、逆に「使い終わった後に農地へ戻ることが確実と認められないとき」を不許可事由として定めています(5条2項6号・7号)。つまり一時的な利用は「許可がいらない話」ではなく「許可の審査で厳しく見られる話」です。
「人が変わるだけなら農業委員会、農地が潰れる話が絡んだら知事等」。潰す話(4条・5条)は影響が大きいので、より上位の行政庁である知事が判断する、と理解します。なお、抵当権の設定は農地を耕す人が変わらないので3条許可は不要ですが、その抵当権が実行されて競売で所有権を取得する場面では3条(転用目的なら5条)の許可が必要です。「競売だから許可不要」は誤りです。
許可が不要になる場合
公共性が高い場合や、そもそも当事者に選択の余地がない場合には許可が不要になります。特に頻出なのが相続です。相続は人の死亡によって当然に発生するもので、許可を求めても断りようがありません。そのため許可は不要ですが、遅滞なく農業委員会へ届け出る必要があります。「相続だから許可も届出も不要」という肢は誤りです。
| 場面 | 3条(権利移動) | 4条・5条(転用が絡む) |
|---|---|---|
| 国・都道府県が取得・転用する場合 | 許可不要(3条は国・都道府県のみ。指定市町村は許可が必要) | 国・都道府県等(=都道府県+指定市町村)が道路・農業用用排水施設等へ転用する場合は許可不要(それ以外は知事等との協議成立で許可があったものとみなす) |
| 土地収用法により収用・使用される場合 | 許可不要 | 許可不要 |
| 相続・遺産分割・包括遺贈・相続人に対する特定遺贈 | 許可不要(農業委員会へ届出が必要) | 該当なし |
| 相続人以外の者への特定遺贈 | 許可が必要 | 該当なし |
| 市街化区域内の農地 | 特例なし=許可が必要 | あらかじめ農業委員会へ届出すれば許可不要 |
| 自分の農地を自分の農業用施設に転用(2アール未満) | 該当なし | 4条の許可不要(5条にこの例外はない) |
市街化区域内の特例と、違反したときの効果
市街化区域は「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ですから、農地が宅地に変わっていくことはむしろ歓迎されます。そこで4条・5条については、あらかじめ農業委員会に届け出れば許可が不要になります。ここには3つの罠が仕込まれています。①届出は「あらかじめ」=転用に着手する前でなければならない(工事完了後の届出では意味がありません)、②届出先は知事ではなく農業委員会、③3条にはこの特例がない。とくに③は毎年のように狙われます。農地を農地のまま売買しても農地は減らないので、市街化区域だからといって特例を与える理由がないのです。
違反した場合の効果も整理しておきます。3条・5条の許可を受けずにした契約は効力を生じません(所有権は移転しません)。4条は権利移動を伴わないので契約の効力という問題は生じませんが、4条・5条に違反した転用については、知事等が工事の中止や原状回復その他違反を是正するために必要な措置を命ずることができます。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、法人が4条・5条に違反した場合には1億円以下の罰金という重い両罰規定が用意されています。農地を守るという趣旨の強さが罰則の重さに表れています。
農地の賃貸借の保護
農地法は、農地を耕す人(借り手)も保護しています。頻出は次の3点です。
| 論点 | 内容 | 比較のポイント |
|---|---|---|
| 対抗力 | 農地の賃貸借は、引渡しがあれば、その後にその農地の所有権を取得した第三者に対抗できる | 登記は不要。借地借家法の建物賃貸借(引渡し)と同じ発想 |
| 解約等の制限 | 賃貸借の解除・解約の申入れ・合意解約・更新拒絶の通知には、原則として都道府県知事の許可が必要 | 許可なくしてした解除等は無効 |
| 法定更新 | 期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知をしないときは、従前と同一の条件で更新したものとみなされる | 存続期間の上限は民法と同じ50年 |
なお、農地の賃貸借は建物所有を目的とするものではないため、借地借家法は適用されません。保護のルールは農地法が独自に定めています。
ひっかけポイント
事後届出は「権利取得者が契約締結日から2週間以内」です。作問者はこの2か所を必ず狙ってきます。「売主および買主は届け出なければならない」(売主が混ざった瞬間に誤り)、「登記をした日から2週間以内」「引渡しを受けた日から2週間以内」(起算点のすり替え)は反射的に誤りと判定してください。ただし交換だけは例外で、両当事者が土地を取得するため、各自が取得した土地の面積で判定し、該当すれば双方が届け出ます。
「知事は、届出に係る対価の額が著しく適正を欠くときは、その変更を勧告することができる」——事後届出制ではこれは誤りです。対価の額は届出事項ではありますが、審査・勧告の対象は利用目的だけ。ただし注視区域・監視区域の事前届出では予定対価の額も勧告の対象になるので、区域を読み飛ばすと逆に引っかかります。
「勧告に従わない→罰則」「無届→契約無効」はどちらも誤りです。正しくは、勧告違反は公表される可能性があるだけで罰則なし・契約は有効、無届は罰則ありだが契約は有効。契約が無効になるのは規制区域内の無許可契約と、農地法3条・5条の無許可契約だけです。この2つを「無効になるグループ」として覚えてしまいましょう。
この分野の誤答肢の大半がこのパターンです。①相続は許可不要だが届出は必要(「許可も届出も不要」は誤り)。②市街化区域内の特例は4条・5条だけで、3条にはない(「市街化区域内なら3条も届出で足りる」は誤り)。③その届出は「あらかじめ」(「転用工事の完了後に届け出る」は誤り)。④届出先は農業委員会(「知事に届け出る」は誤り)。さらに、採草放牧地の転用に4条許可が必要という肢も定番の誤りです。逆方向のひっかけとして、「砂利採取のため一時的に借りて、採取後は埋め戻すので許可は不要」も誤りです。一時的な利用でも4条・5条の許可は要ります。
一問一答で総仕上げ
Q1. 市街化区域内の3,000㎡の土地について売買契約が締結された場合、売主Aと買主Bは、共同して契約締結日から2週間以内に事後届出を行わなければならない。(○か×か)
答え: × 事後届出の義務者は権利取得者である買主Bだけです。売主Aに届出義務はありません。「売主および買主」という表現が出た時点で誤りと判断できます(交換の場合のみ、双方が権利取得者となるため各自が届け出ます)。
Q2. Bが市街化調整区域内の6,000㎡の土地をAから贈与により取得した場合、Bは事後届出をしなければならない。(○か×か)
答え: × 贈与は対価を得て行われる取引ではないため、面積要件を満たしていても届出は不要です。相続・遺産分割・法人の合併・時効取得も同じ理由で対象外です。国土法の趣旨が地価対策であることを思い出せば判断できます。
Q3. Bが市街化区域内において、Aから1,500㎡、Cから800㎡の隣接する土地を一連の計画のもとに順次購入した場合、Bは事後届出をしなければならない。(○か×か)
答え: ○ 事後届出の面積判定は権利取得者を基準とする一団の土地で行います。合計2,300㎡となり市街化区域の2,000㎡以上に該当するため、届出が必要です。売主が別人であることや、個々の契約が基準面積未満であることは理由になりません。
Q4. 事後届出があった場合、都道府県知事は、届出に係る対価の額が著しく適正を欠くと認めるときは、その額について変更すべきことを勧告することができる。(○か×か)
答え: × 事後届出で審査・勧告の対象となるのは土地の利用目的だけです。対価の額は届出事項ではあるものの、勧告の対象にはなりません。予定対価の額が勧告の対象になるのは、注視区域・監視区域の事前届出の場合です。
Q5. 事後届出に係る勧告を受けた者がその勧告に従わなかった場合、都道府県知事はその旨を公表することができ、また当該契約は効力を失う。(○か×か)
答え: × 公表できる点は正しいのですが、契約は有効なままです。勧告違反には罰則もありません。国土法で契約が無効になるのは、規制区域内で許可を受けずにした契約だけです。
Q6. 注視区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結しようとする場合、当事者双方は、あらかじめ届出をしなければならず、届出後6週間を経過するまでは原則として契約を締結できない。(○か×か)
答え: ○ 事前届出制の要点そのものです。届出義務者は当事者双方、時期は契約締結前、そして届出後6週間の契約締結制限がかかります(勧告または勧告しない旨の通知を受けたときは、その時点で締結できます)。
Q7. 登記簿上の地目が山林となっている土地であっても、現に耕作の目的に供されていれば農地法上の農地に当たる。(○か×か)
答え: ○ 農地かどうかは現況で判断し、登記簿上の地目は関係ありません。一時的に休耕している土地も農地に当たります。逆に登記地目が「田」でも現況が資材置場であれば農地ではありません。
Q8. 市街化区域内の農地をBが耕作の目的で購入する場合、Bはあらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法3条の許可を受ける必要はない。(○か×か)
答え: × 市街化区域内の届出の特例は4条・5条(転用が絡む場合)に限られ、3条には適用されません。農地を農地のまま取得する場合は、市街化区域内であっても農業委員会の許可が必要です。この分野の最頻出ひっかけです。
Q9. 採草放牧地を宅地に転用する場合には、農地法4条の許可を受けなければならない。(○か×か)
答え: × 4条の転用規制の対象は農地のみで、採草放牧地の転用は4条の対象外です。ただし、採草放牧地を農地以外のものにするために権利移動を伴う場合は5条の許可が必要になります。「4条は農地専用」と覚えてください。
Q10. 相続により農地を取得した者は、農地法3条の許可を受ける必要はなく、農業委員会への届出も不要である。(○か×か)
答え: × 許可が不要である点は正しいのですが、農業委員会への届出は必要です。誰が農地を耕しているかを行政が把握できなくなるためです。「許可不要=何もしなくてよい」と読ませるのが定番の作り方です。
Q11. 農地について競売により所有権を取得する場合には、農地法3条の許可を受ける必要はない。(○か×か)
答え: × 競売であっても耕作する人が変わることに変わりはないので、3条の許可が必要です(転用目的であれば5条)。なお、抵当権を設定するだけであれば耕作者は変わらないので、3条の許可は不要です。
Q12. 農地の賃借人は、その農地の引渡しを受けていれば、賃借権の登記がなくても、その後にその農地の所有権を取得した第三者に賃借権を対抗することができる。(○か×か)
答え: ○ 農地法16条により、農地の賃貸借は引渡しがあれば第三者に対抗できます。登記は不要です。農地の賃貸借には借地借家法は適用されませんが、農地法が独自に借り手を保護しています。
まとめ
| テーマ | 覚える数字・キーワード | 最頻出のひっかけ |
|---|---|---|
| 事後届出の3点 | 権利取得者のみ/契約締結日から2週間以内/市町村長経由で知事 | 「売主および買主」「登記から2週間」 |
| 面積要件 | 市街化区域2,000㎡/市街化区域以外の都市計画区域5,000㎡/都市計画区域外・準都市計画区域10,000㎡ | 準都市計画区域を5,000㎡グループに入れる |
| 対象となる契約 | 所有権・地上権・賃借権の移転設定で対価あり(予約含む) | 贈与・相続・抵当権設定を対象に見せる |
| 審査と制裁 | 審査は利用目的のみ/勧告は3週間以内/勧告違反は公表可・罰則なし・契約有効/無届は罰則あり・契約有効 | 対価の額を勧告対象にする/無届で契約無効 |
| 事前届出(注視・監視) | 当事者双方が契約前に届出/6週間の締結制限/予定対価も審査対象 | 事後届出のルールと混ぜる |
| 農地法の許可権者 | 3条=農業委員会/4条・5条=都道府県知事等 | 3条を知事にする |
| 市街化区域の特例 | 4条・5条のみ/あらかじめ/農業委員会へ届出 | 3条にも特例があるとする/工事後の届出 |
| 許可不要と届出 | 相続・遺産分割等は許可不要だが届出必要/競売は許可必要 | 「許可も届出も不要」 |
| 違反の効果 | 3条・5条の無許可契約は無効/原状回復命令/3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金(法人の4条5条違反は1億円以下) | 4条違反で契約無効とする |
| 農地の賃貸借 | 引渡しで対抗力/解約等に知事の許可/存続期間50年 | 登記が必要とする |
国土法と農地法は、覚える量に対して得点効率が最も高い2分野です。国土法は「権利取得者・2週間・利用目的だけ」、農地法は「3条=農業委員会・4条5条=知事等・市街化区域特例は4条5条だけ」という骨格を押さえたうえで、上の表のひっかけパターンを確認すれば、本試験で2問取り切れます。次章では土地区画整理法と盛土規制法を扱い、法令上の制限8問を仕上げます。