仕組みを理解したところで、ここからは実際の取引の流れを解説します。口座の開設から資金の移動、そして注文を出すまでの一連の手順を追っていきましょう。
- 先物・オプション取引口座
- 一般的な株を買うための総合口座とは別に必要となる、デリバティブ商品専用の取引口座です。
- 板(いた)
- 現在市場で提示されている売り注文と買い注文を価格ごとに一覧化した表のことです。
- 気配値
- 板に出ている売りの希望価格(売呼値)・買いの希望価格(買呼値)のこと。最も有利なものを「最良気配」と呼びます。
- 指値
- 自分で希望する売買の上限または下限の価格を指定して発注する方法です。その価格か、それより有利な条件で約定します。
- 成行
- 価格を指定せず、現在最も有利な相手とすぐに取引することを指す注文方法です。
- 約定(やくじょう)
- 売り手の希望する条件と買い手の希望する条件が一致し、実際に売買契約が成立したことを意味します。
STEP 0: 先物・オプション取引口座を開く
日経225先物を始めようとする場合、一般的な株式投資用の総合口座とは別に、「先物・オプション取引口座」の開設が必要です。松井証券の場合、インターネットから申し込めます。
「まだ先物・オプション取引口座をお持ちでない方は、インターネットで今すぐお申込み!」
先物・オプション取引口座は、申し込めば必ず開けるものではなく、各社が開設の可否を判断します。取引経験や資産状況などの条件は会社ごとに異なるため、必ず各社の公式サイトで開設条件を確認してください。
STEP 1: 証拠金を振り替える
口座開設が完了したら、実際の取引を開始するための資金準備を行います。これは「証拠金」の振替と呼ばれる手続きです。
- STEP 1: 総合口座から先物・オプション口座へ現金または代用有価証券を振り替える
- STEP 2: 新規注文を行う(ここで実際の売買が発生します)
- STEP 3: 返済注文を行う(保有している建玉を決済するための注文です)
まずは総合口座に預けている現金や、指定された有価証券を先物・オプション取引用の口座へ移動させます。この資金が証拠金として機能し、価格変動に対する担保になります。
「【1】『総合口座から先物・オプション口座へ』を選択する。」
板の読み方 — 売り手と買い手の一覧表
「板(いた)」とは、現在の市場でどの価格にどれだけの数量の注文が並んでいるかを一目で見られる一覧表のことです。取引を始める前に必ず見ておきたい情報源となります。
- 中心の価格帯: 多くの注文が集まっている部分で、現在の市場の注目度が高い水準と見なせます。例えば日経225先物であれば、30,000円付近に厚みがある場合などが考えられます。
- 気配の厚さ: ある価格帯における注文の総量です。「厚い」とは多くの枚数が並んでいる状態を指し、「薄い」はその逆の状態です。板が薄いと、少量の注文でも大きく価格変動する可能性があります。
買い手の希望(買呼値)と売り手の希望(売呼値)の間にある幅や、それぞれの数量を確認することで、次に約定しやすい方向性を推測できます。
注文の種類 — 指値と成行、そして執行条件
実際に売買を発注する際の方法として、「指値注文」と「成行注文」の2つが基本となります。さらに、これらの注文に有効期間などの条件を組み合わせることで、より柔軟な取引が可能になります。
基本的な注文方法
- 指値注文: 価格の限度(上限または下限)を自分で指定して発注します。指定した価格、あるいはそれよりもさらに有利な価格で約定するものです。
- 成行注文: 価格の限度を指定せずに発注します。「今すぐ取引したい」という意思を示すものであり、現在の最良の売呼値または買呼値と順次対当(マッチング)して約定させます。
有効期間条件
注文を出したまま放置した場合、いつまでその注文が有効かを示す条件です。主要な種類は以下の通りです。
| コード | 名称・意味 | 説明 |
|---|---|---|
| GFD | 通常条件(Good For Day) | 注文を発注した当日の取引終了時まで有効です。翌日以降は自動的に取消されます。 |
| GTD | 指定期間条件・日付指定(Good Till Date) | 自分で設定した特定の期限日までのみ有効です。その日まで約定しなければ取消されます。 |
| GTC | 指定期間条件・期間指定(Good Till Cancelled) | 自分で注文を明示的に取り消すまでずっと有効です。長期で特定の価格を狙いたい場合に利用されます。 |
| FAK | 残数量取消条件(Fill And Kill) | 注文した全量を直ちに約定させられなければ、未約定の残り部分を自動的に取り消します。部分約定は許容されます。 |
| FOK | 全数量執行条件(Fill Or Kill) | 注文した全量が直ちに完全に約定しなければ、すべてを取り消します。部分約定は一切許容されません。 |
値段はどう決まるか — 板寄せとザラバ
先物・オプションの価格は、売り手と買い手の交渉によって決定されます。この仕組みは「価格優先・時間優先」の原則に基づいています。
- 価格優先: より有利な条件(買値が高い順に、売値が低い順に)で注文した人が先に約定します。
- 時間優先: 同じ価格帯の注文に対しては、早く発注した人から順に約定します。
板寄せ方式とザラバ方式
この原則に基づく取引には、「場中」に行われる通常の流れと「始値・終値決定時」など特定の場面で行われる特別な流れがあります。
- ザラバ方式
- 通常の取引時間中に採用される方法です。最も低い売注文の価格と、最も高い買注文の価格が一致した時点で、その値段で約定させていきます。
- 板寄せ方式
- オープニング・オークションやクロージングなど特定の時間帯に採用される方法です。一定時間内に集まった注文を価格優先の原則で突き合わせ、一本の値段(始値や終値)でまとめて約定させます。
出典: JPX「取引方法」
どこで取引できるか — 取扱証券会社と手数料
日経225先物を個人向けに扱っている証券会社として、大阪取引所の投資教育サイト「北浜投資塾」には以下の各社が掲載されています(掲載は取得時点のもの。最新の一覧はリンク先を確認してください)。
- 岩井コスモ証券株式会社
- インタラクティブ・ブローカーズ証券株式会社
- SBI証券
- 三菱UFJ eスマート証券株式会社
- 光世証券株式会社
- 日産証券株式会社
- フィリップ・キャピタル証券株式会社
- 松井証券株式会社
- マネックス証券株式会社
- むさし証券株式会社
- 楽天証券株式会社
手数料の例
取引コストとなる「売買手数料」は、利用する会社や商品によって異なります。例えば松井証券における日経225先物の手数料は以下の通りです。
| 会社名 | 商品 | 単価(税別) | 単価(税込) |
|---|---|---|---|
| 松井証券 | 日経225先物 | 約定1枚あたり 200円 | 220円 |
出典: 北浜投資塾「日経225先物取扱い証券会社」 / 松井証券「先物取引 手数料」
理解度チェック
「指値注文」と「成行注文」の最大の違いは何ですか?
価格を指定するかどうかです。指値は自分で希望する売買価格(上限・下限)を設定し、その条件で約定させます。一方、成行は価格を指定せず、「今すぐ」現在の最良の相手と取引することを意味します。
「FAK(残数量取消条件)」とはどのような注文ですか?
注文した全量を直ちに約定させられなかった場合、未約定の残り部分を自動的に取り消すという条件です。部分約定は許容されますが、「全部でなければ意味がない」というFOKとは異なります。
「板寄せ方式」が使われる場面と、その特徴は何ですか?
オープニング・オークションやクロージングなど特定の時間帯に使われます。集まった注文を突き合わせ、「一本の値段」でまとめて約定させるのが特徴です。