日経225先物 はじめてガイド|2026-08 版
第 5 章

決済 — 反対売買と SQ

先物の出口は 2 つだけ。期限内に自分で決済する「反対売買」と、何もしなかったときの「SQ による最終決済」。

先物取引では、一度買ったもの(売ったもの)は、いつか必ず手放す必要があります。その「出口」、つまり決済方法は主に2つしかありません。

反対売買
持っていた建玉を相殺するために行う取引のことです。
転売
買ったもの(買い建て)を手放すための決済方法です。
買戻し
売ったもの(売り建て)を元に戻して手放すための決済方法です。
SQ(特別清算指数)
取引最終日を越えて残った建玉の自動的な決済価格として使われる特別な日経平均値のことです。
取引最終日
その限月を売買できる最後の取引日。各限月の第 2 金曜日の前日に終了する取引日です。
ロールオーバー
現在の限月の建玉を決済し、次の限月で改めて建て直す一連の実務のことです(通称)。

出口は 2 つ — 自分で決済するか、自動で決済されるか

先物建玉を決済する方法は、大きく分けて2つのパスがあります。一つ目は、自ら「反対売買」を行う方法です。取引最終日までに、買い建てたものは転売し、売り建てたものは買い戻すことで損益を確定します。

もう一つは、SQ による最終決済です。何もせずに取引最終日を越えた建玉は、翌営業日に算出される特別清算指数(SQ 値)を唯一の決済価格として、自動的に差金決済されます。

保有中の建玉 (未決済の契約) ① 反対売買(自分で決済) 取引最終日までに転売・買戻し タイミングを自分で選べる ② SQ による最終決済(自動) 取引最終日を越えたら SQ 値で差金決済 何もしなくても強制的に決済される 期限内に 期限を越えたら
図 5-1 決済の 2 つの経路。どちらの場合も現物の受け渡しはなく、差金決済で損益だけを受け渡します。

出典: 松井証券「先物取引の決済方法」

反対売買 — 転売と買戻し

自分で決済する場合は、最初に建てた方向と逆の注文を出します。買い建玉(買ったもの)に対しては「転売」、売り建玉(売ったもの)に対しては「買戻し」を行います。

この場合も実物の受け渡しはなく、「差金決済」となります。つまり、約定価格(建てた時の価格)と決済価格(手放した時の価格)の差額のみが現金として受渡されます。

買建て 49,700 円 転売(反対売買) 49,900 円 +200 円の値上がり (49,900 − 49,700) × 1,000 倍 × 1 枚 = 200,000 円の利益
図 5-2 反対売買による決済の例(松井証券の解説の数値)。買建玉は「転売」、売建玉は「買戻し」で手仕舞います。手数料・税金は別途かかります。

損益計算の例(松井証券の解説の数値):

(49,900円 − 49,700円) × 1,000 × 1枚 = 200,000円

損益は「値幅 × 取引単位の倍率 × 枚数」で決まります。この例では 200 円の値幅 × 1,000 倍 × 1 枚で、20 万円の利益です。

注意: この差額には手数料や税金が別途かかります。詳細な計算方法については第4章・第7章で解説していますので、そちらも参照してください。

出典: 松井証券「先物取引の決済方法」

SQ — 何もしないとどうなるか

日経225先物の「取引最終日」は、各限月の第2金曜日(休業日に当たる場合は順次繰り上げ)の前日です。この日を越えて決済されずに残った建玉は、自動的に清算されます。

その際の決済価格として使われるのが、「SQ値」(特別清算指数)です。これは取引最終日の翌営業日、つまり第2金曜日における各構成銘柄の始値に基づいて算出される「特別な日経平均」です。

限月の第 2 金曜日の週に起こること 〜水曜日 木曜日 第 2 金曜日(SQ 日) 通常どおり取引 反対売買はいつでも可 取引最終日 この限月を取引できる最後の日 構成銘柄の始値から SQ 値を算出 残った建玉は SQ 値で最終決済 「第 2 金曜日が休業日なら順次繰り上げ」。取引最終日の翌営業日から次の限月の取引が始まる
図 5-3 SQ 週のスケジュール。取引最終日は「各限月の第 2 金曜日の前日に終了する取引日」、SQ 値はその翌営業日(第 2 金曜日)に算出されます。

初心者にとって最も重要なのは、「放置すれば自分の知らない値段(翌朝の始値ベースの SQ 値)で決済が確定する」という点です。決済のタイミングを自分で選びたいなら、取引最終日までに反対売買が必要です。

注意: 取引最終日を越えて建玉を残すと、自分の希望する価格ではなく、翌営業日の始値ベースの SQ 値で最終決済されます。決済価格を自分で選びたい場合は、取引最終日までに反対売買を行ってください。

出典: JPX「日経225先物 制度概要」

SQ 値の算出 — 「特別な日経平均」

通常の日経平均株価は、市場が動いている間ずっと継続的に計算されます。しかし、SQ値はそのような連続的なものではありません。

SQ値は、取引最終日の翌営業日に「一度だけ」、各構成銘柄の始値という特定のデータをもとに算出される特別仕様の日経225です。この一回きりの数値が、その限月のすべての未決済建玉の決済価格となります。

SQ 日(第 2 金曜)の朝 構成銘柄それぞれの 「始値」 が付くのを待つ (銘柄ごとに寄付き時刻は違う) 始値ベースで 特別に 1 回だけ計算 SQ 値 最終決済の価格 通常の日経平均(取引時間中ずっと計算)とは別物の「特別な日経225」— だから特別清算指数と呼ばれる
図 5-4 SQ 値(特別清算数値)の算出。取引最終日の翌営業日における各構成銘柄の始値に基づいて算出されます(JPX の定義)。

出典: JPX「日経225先物 制度概要」

ロールオーバー — 長く持ち続けたいとき

特定の限月の建玉を決済せずに、さらに長い期間ポジションを持ち続けたくなることがあります。この一連の操作は一般的に「ロールオーバー」と呼ばれますが、ここでの説明は公式な定義ではなく、「期近の建玉を取引最終日までに反対売買で決済し、次の限月で改めて建て直す」という2つの検証済み事実の組み合わせとして理解してください。

断り: 「ロールオーバー」という用語自体の公式な定義は、この章の出典には含まれていません。ここでは「反対売買による決済」と「新規建て」という、それぞれ公式に確認できる 2 つの取引の組み合わせとして説明しています。

ロールオーバー =「決済」と「建て直し」の 2 つの取引 9月限の買建玉を保有中 ① 取引最終日までに転売して決済 (9月限の損益はここで確定) ② 12月限で改めて買建て (新しい建玉として値洗いが始まる) 自動では乗り換わらない。何もしなければ 9月限は SQ で最終決済される
図 5-5 ロールオーバーの実務。「ロールオーバー」は通称で、実体は反対売買による決済(第 5 章)と新規建て(第 4 章)の組み合わせです。2 回分の手数料がかかります。
注意: システムが自動的に次の限月に建玉を引き継いでくれるわけではありません。何もしなければ、前述の通りSQ値で自動決済されてしまいます。持ち続けたい場合は、自分で必ず反対売買と新規建ての手順を踏む必要があります。

出典: 松井証券「先物取引の決済方法」

理解度チェック

買い建てた建玉を手放すとき、どの用語を使いますか?またその損益はどう決まりますか?

「転売」を行います。損益は約定価格と決済価格の差額のみが受渡される「差金決済」となります。

SQ値(特別清算指数)は、いつのどの価格に基づいて計算されますか?

取引最終日の翌営業日における各構成銘柄の始値に基づき算出される特別な日経225です。

反対売買を行わずに取引最終日を越えて建玉を放置した場合、どうなりますか?

SQ値(特別清算指数)を唯一の決済価格として、すべて差金決済されます。

この章の主な出典

免責事項: 本ガイドは日経225先物取引の制度・仕組みを学ぶための学習資料であり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。売買の判断はご自身の責任で行ってください。先物取引は差し入れた証拠金を上回る損失が発生するおそれのある取引です。制度・数値は 2026-08 時点で参照した各公式ページに基づいており、変更されることがあります。取引前に必ず取引所・証券会社の最新の公式情報をご確認ください。