日経225先物 はじめてガイド|2026-08 版
第 7 章

税金と確定申告

利益が出たら申告分離課税 20.315%。損が出ても 3 年間の繰越控除 — どちらの場合も確定申告が味方になります。

先物取引で利益が出たら、確定申告をして税金を納めます。逆に損失が出た年も、申告しておくと翌年以降の税金を減らせる制度があります。つまり勝っても負けても、確定申告の仕組みを知っておくことが味方になります。

この章の内容は、国税庁のタックスアンサー(No.1522・No.1523)と証券会社の税制解説に基づいています。最後の章として、利益・損失それぞれの場合に何をすればよいかを押さえます。

申告分離課税
特定の所得を給与などの他の所得と分けて計算し、独立した税率で課税する方式です。
先物取引に係る雑所得等
先物取引の差金等決済による所得が入る税制上の区分。日経225先物の損益はここに入ります。
差金等決済
現物の受け渡しをせず、差額の授受で取引を終えること。第 5 章の反対売買・SQ 決済がこれにあたります。
損益通算
同じ区分の中で利益と損失を相殺し、課税対象を小さくできる仕組みです。
繰越控除
その年に引ききれなかった損失を、翌年以後に持ち越して利益から差し引ける制度です。

先物の利益は「申告分離課税」

居住者などが一定の先物取引の差金等決済をした場合、その所得は「先物取引に係る雑所得等」として、給与など他の所得と区分して課税されます。これが申告分離課税です。

対象になるのは、次のような取引の差金等決済です。

「区分して課税される」とは、給与がいくら高くても低くても、先物の利益にかかる税率は変わらない、ということです。

先物の損益は「独立した箱」で課税される(申告分離課税) 総合課税の箱 給与所得・事業所得 など 所得が増えるほど税率が上がる (累進課税) 申告分離課税の箱 先物取引に係る雑所得等 他の所得と合算せず 一律 20.315% で課税 給料がいくら高くても(低くても)、先物の利益にかかる税率は変わらない
図 7-1 申告分離課税の考え方。先物取引の差金等決済による所得は「先物取引に係る雑所得等」として、他の所得と区分して課税されます(国税庁 No.1522)。

出典: 国税庁 No.1522「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」

税率は 20.315%

「先物取引に係る雑所得等」への税率は、所得税 15%・住民税(地方税)5% が基本です。これに、平成 25 年(2013 年)から令和 19 年(2037 年)までの各年分は復興特別所得税(基準所得税額の 2.1% = 所得の 0.315% 相当)が加わり、合計 20.315% になります。

内訳税率
所得税15%
復興特別所得税(所得税額の 2.1%)0.315%
住民税5%
合計20.315%

年間の利益が 50 万円だった場合の税額の目安は次のとおりです(必要経費を考慮しない単純計算)。

500,000 円 × 20.315% = 101,575 円

20.315% の内訳 所得税 15% 住民税 5% 復興特別所得税 0.315%(所得税額の 2.1%) 復興特別所得税は平成 25 年(2013 年)から令和 19 年(2037 年)までの各年分に加算される
図 7-2 税率の内訳。所得税 15% + 復興特別所得税 0.315% + 住民税 5% = 20.315%(松井証券の表記では所得税 15.315%・住民税 5%)。

出典: 国税庁 No.1522「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」 / 松井証券「先物・オプション取引の税制・確定申告」

損益通算 — できる範囲・できない範囲

「先物取引に係る雑所得等」の中に入る取引どうしなら、利益と損失を相殺(損益通算)できます。たとえば日経225先物の利益と FX(外国為替証拠金取引)の損失は、同じ区分なので通算できます。

一方、この区分の外にある所得 — 給与所得や上場株式の譲渡所得など — との損益通算はできません。「先物で出た損は、先物の仲間の利益からしか引けない」と覚えてください。

「先物取引に係る雑所得等」の箱 日経225先物 商品先物 FX(証拠金取引) オプション取引 箱の中どうしは損益通算 OK 給与所得 上場株式の譲渡所得 箱の外とは通算できない 「先物で 50 万円の利益・FX で 30 万円の損失」→ 通算して 20 万円に課税できる
図 7-3 損益通算の範囲。同じ「先物取引に係る雑所得等」に入る取引どうしなら通算できます。株式投資の損益とは箱が別なので通算できません(国税庁 No.1522)。

出典: 国税庁 No.1522「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」 / 国税庁 No.1521「外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」 / 松井証券「先物・オプション取引の税制・確定申告」

損失は 3 年間繰り越せる

差金等決済で生じた損失は、翌年以後 3 年間にわたって繰り越し、繰り越した各年の「先物取引に係る雑所得等」の金額を限度として差し引くことができます。

この繰越控除を受けるには手続きの条件があります。損失が生じた年分について申告書付表と計算明細書を添付した確定申告書を提出し、その後も連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出し続ける必要があります。「損した年だけ申告して翌年はしない」と、繰越はつながりません。

損失は翌年以後 3 年間、利益から差し引ける(模式例) 1 年目 −100 万円 2 年目 +40 万円 課税 0 円 3 年目 +30 万円 課税 0 円 4 年目 +50 万円 30万円は相殺 残り 100−40−30−30 = 0。繰越には損失の年から毎年連続して確定申告が必要
図 7-4 繰越控除の模式例。1 年目の損失 100 万円を 2〜4 年目の利益(計 120 万円)から差し引き、課税対象は 4 年目の 20 万円だけになります(国税庁 No.1523 の制度に基づく計算例)。

出典: 国税庁 No.1523「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」

確定申告の実務 — 必要な書類

先物取引の所得を申告するときに必要な書類は次のとおりです。

補足: 年間の損益は、証券会社が交付する取引報告書などで確認できます。個別の税務判断や迷うケースは、所轄の税務署または税理士に確認してください。

出典: 国税庁 No.1522「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」 / 国税庁 No.1523「先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」

理解度チェック

先物取引の利益にかかる税率 20.315% の内訳は?

所得税 15% + 復興特別所得税 0.315%(基準所得税額の 2.1%。2037 年まで)+ 住民税 5% です。他の所得の多寡にかかわらず、この一律の税率が適用されます。

FX の利益と日経225先物の損失は通算できますか?

できます。どちらも「先物取引に係る雑所得等」に該当するため、同じ区分内での損益通算が認められています。一方、給与所得や株式の譲渡所得とは通算できません。

損失の繰越控除を受け続けるための条件は何ですか?

損失が出た年分に申告書付表・計算明細書付きの確定申告書を提出し、その後も連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出し続けることです。繰越期間は翌年以後 3 年間です。

この章の主な出典

免責事項: 本ガイドは日経225先物取引の制度・仕組みを学ぶための学習資料であり、投資勧誘や投資助言を目的としたものではありません。売買の判断はご自身の責任で行ってください。先物取引は差し入れた証拠金を上回る損失が発生するおそれのある取引です。制度・数値は 2026-08 時点で参照した各公式ページに基づいており、変更されることがあります。取引前に必ず取引所・証券会社の最新の公式情報をご確認ください。